7 【
指導担当次長(塩崎政江)】
市立前橋高校における
主権者教育にかかわる学習ですが、現行の
学習指導要領に基づき、2年生全員を対象とした現代社会の授業及び3年生の選択授業の
政治経済分野にて選挙や政治参加のあり方について指導しているところであります。また、校内における生徒会の活動は、立候補、演説、投票という一連の選挙活動により代表を選出し、その代表が協議をし、生徒会活動などについて決定するという校内での
主権者教育の場として非常に有効であると考えております。
主権者教育は、主権者としての自覚と社会参画の力を育む教育です。子供たちが社会の中で自立し、多様な人と協働しながら主体的に課題解決に取り組み、さまざまな社会の課題に対応できる力をつけられるよう指導の充実を図ってまいりたいと思っています。
8 【16番(
三森和也議員)】
主権者教育をしっかり位置づけることは、政治意識を高め、さらには投票行動と政治参加を高める上で大変重要との認識は一致していると思います。
そこで、
主権者教育の進め方について、例えば本市として副読本を作成し、活用を図ってみてはと考えますが、対応についてご所見をお聞きいたします。
9 【
指導担当次長(塩崎政江)】 副読本につきましては、選挙権が18歳以上に引き下げられたことにより、現在文部科学省が選挙に関する生徒向けの副教材を作成し、配付を計画していると聞いております。それらの情報収集に努めながら、引き続き他の県立高校等と同様に
学習指導要領に基づいた教育の充実を図っていきたいと考えております。
10 【16番(
三森和也議員)】 高等学校における学校図書館の取り組みについてもお聞きいたします。図書館法では、図書館はその設置目的から、図書館奉仕のため
学校教育援助を一つの目的とし、時事に関する情報及び参考資料を紹介し、及び提供する役割について定め、この役割に対し従事する専門的職員を司書及び司書補としております。今後、時事問題に関する情報提供は学校図書館の重要な役割としてますます大切になると考えます。そこで、本市の市立高校での司書の配置状況についてお聞きするとともに、今後の役割についても考え方をお聞きいたします。
11 【
指導担当次長(塩崎政江)】
市立前橋高校の図書館司書の雇用でありますが、司書資格を持っている方を嘱託員として雇用しております。日常の図書館運営に加えて司書教諭や図書館主任の指導のもとで委員会活動あるいは
図書普及活動などを行っております。社会情勢の目まぐるしい変化を捉える力を養えるように、教諭と連携を図り、情報発信の拠点としての機能の充実を図ってまいりたいと考えております。
12 【16番(
三森和也議員)】 情報発信の機能を充実していくという答弁でございました。そこで、時事問題についての情報を得る手段として、新聞はその代表的なものと考えます。図書室の
新聞購読状況については現在2紙でありますが、例えば国の法案審議等に対する各新聞社の論評を比較することが可能なことから、新聞購読数をふやしていただきたいと考えます。ご所見と対応についてお聞きいたします。
13 【
指導担当次長(塩崎政江)】 図書館の新聞の購読数は、おっしゃるとおり現在2紙を講読しております。そのほかに時事問題や社会情勢を比較し、多方面から情報収集できる手段として月刊誌などの雑誌も購読しております。多様な新聞社の論評等を比較することなどは生徒の考えを深めるために効果的であると考えておりますので、他校の状況等を確認しながら予算要求をしていきたいというふうに考えております。
14 【16番(
三森和也議員)】 ぜひ購読数をふやしていただくようご努力をお願いしておきます。
さらに、高等学校における取り組みをお聞きしましたが、義務教育における早い段階からの
主権者教育も大切であると考えております。小学校での社会科、中学校での公民の授業が想定されると思いますが、学校教育における
主権者教育の考え方についてもお聞きいたします。
15 【
指導担当次長(塩崎政江)】 学校教育における
主権者教育にかかわる学習についてですが、現行の
学習指導要領に基づき、小学校6年生の社会科で憲法の基本理念である国民主権について学び、関連して政治の大切な働きを考える学習を行っております。また、中学校の社会科では3年生で学習する公民的分野の内容の中で憲法の基本的原則、
議会制民主主義などについて学び、国民の政治参加について考える学習を行っております。また、市内の全部の中学校において、先ほどの
市立前橋高校と同様に、生徒会で立候補、演説、投票という選挙活動により代表を選出しております。こうした活動は、今後
主権者教育の中心的な教育活動として、例えば
選挙管理委員会の活発化を図るなど、より充実させていきたいと考えております。
いずれにしましても、
義務教育段階ではこのような学習や活動を通して主権者として大切な資質である進んで社会に参加し、考え、判断し、行動しようとする意識が高められるよう取り組んでおります。
16 【16番(
三森和也議員)】 また、平成26年に
学校図書館法の一部が改正され、いわゆる
学校司書配置が努力義務とされております。図書室での司書の配置状況はどのようになっているのかお聞きするとともに、今後の役割についてもお聞きいたします。
17 【
指導担当次長(塩崎政江)】 小中学校における図書館運営にかかわる業務を行う臨時職員、いわゆる学校司書の配置状況ですが、平成27年度は各学校1名ずつ、計69名を配置しております。各学校にいる司書教諭や図書主任と連携しながら、図書館の環境整備、あるいは子供たちの読書活動の指導や支援を行うことにより学校図書館の充実を図っております。
次に、今後の学校司書に期待される役割ですが、図書主任などと連携して
読書センターあるいは
学習センター、
情報センターとしての機能を高めるための支援を期待しております。平成25年に導入した
学校図書館管理システムにより図書の貸し出しが非常に簡略化され、時間が短縮されました。あわせて蔵書の管理が非常に効率化されました。このことにより学校司書が児童生徒に図書の紹介をしやすくなり、先ほどの
主権者教育などにかかわる教科の調べ学習において児童生徒の相談に乗ることができやすくなったりしました。特に今後は中学校の生徒の時事問題における調べ学習への情報提供をより一層充実させることもできると考えます。また、第二次前橋市
子ども読書活動推進計画、伝えよう、本のすばらしさをを策定し、子供たちが主体的に本に親しむための具体的な提言を示しております。本計画を推進するためにも学校司書の役割は大きいものと考えます。引き続きこの取り組みが継続できるよう、
教育委員会としましても支援してまいりたいと考えております。
18 【16番(
三森和也議員)】
主権者教育、司書の役割等については今後充実に向けての課題ということになっていると思います。今回高等学校、小中学校の対応についてお聞きしましたけども、体験型の取り組みについても重要と考えております。その方法としては、模擬投票や市議会本会議場での議会体験であります。実際に投票所に設置される投票箱等を再現し、投票手続を体験することや、議場における現場体験を通じ政治への関心を高める取り組みとして大変有効な手段であると考えております。模擬投票、
こども議会等、
体験学習活動を実施していただきたいと考えております。今後の対応についてお聞きいたします。
19 【総務部長(中島克人)】 模擬投票やこども議会の実施に係る対応についてでございますが、まず模擬投票につきましては、平成21年度から
小学校選挙体験教室といたしまして、市内の小学校6年生を対象に、選挙の大切さを少しでも認識していただくため、実際の選挙と同じ流れで体験できるよう投票所で使用する機材を用いて体験をしてもらう教室を年に数回実施しておりまして、参加した子供たちからは選挙について興味を持つことができた、あるいは20歳になったら必ず投票に行きたいなどの感想が寄せられ、おおむね好評をいただいているところでございます。また、こども議会につきましては、模擬投票と同様、体験を通じて政治への関心を高める機会となりますので、今後
教育委員会を初め関係各課と協議してまいりたいと考えております。
20 【16番(
三森和也議員)】 ぜひこども議会については早目に実現していただけるよう強く要望させていただきたいと思います。また、模擬的な投票については、全国的には高校生でマニフェストとか選挙公報、演説会を実施して、投票、そして開票までの一連の流れを体験するという活動もされているところもありますので、そういったことも参考にしながら、高等学校においても実現できるよう要望しておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、投票時間についてお聞きします。現在の投票時間は、本市では7時から19時となっているものの、群馬県においては投票率向上のため20時までと県内市町村に呼びかけていると仄聞しております。しかし、本市では20時から19時までと投票時間を1時間短縮した経過、具体的には19時から20時までの投票率が低いことや期日前投票のできる投票所の設置箇所を16カ所にふやしてきた、そういった経過等もあり、また本市では冬の2月に市長選や
市議会議員選挙が行われ、終日通しての立ち会いとなることを考えますと、高齢者の多い状況から、健康管理面からも19時までの投票時間は妥当であると私は考えております。19時までの投票時間をこれまで同様継続していただきたいと考えます。当局のご見解と対応についてお聞きいたします。
21 【総務部長(中島克人)】 本市では、市議会及び
自治会連合会からの合理性ある選挙執行についての要望を踏まえまして、本市の投票状況について分析した結果、夜間の投票行動は低く、特に午後7時から8時までの間が少ないことから、平成21年に執行されました
県議会議員補欠選挙から投票時間の一斉繰り上げを実施しまして、有権者に支障を来すことのないよう、あわせて投票環境の確保、拡充を図るため期日前投票所の増設を行い、現在県内では最多の16カ所の期日前投票所を設置しているところでございます。期日前投票所の利用は、本年4月に執行されました
県議会議員選挙では投票者総数のおよそ21%の有権者が利用されていることから、徐々に利用の促進が図られてきているものと考えております。このような状況下において、ご指摘のとおり県からは投票時間繰り上げの再検証について要請をいただいているところではありますが、選挙執行については市議会及び
自治会連合会の協力は必要不可欠なものであるとの認識に立ち、本市としては今後も国、県、他市の動向を注視していきたいと考えているところでございます。
22 【16番(
三森和也議員)】 答弁は何とも微妙でありますが、19時までの投票時間の継続ということで受けとめさせていただきます。
次に、投票率の向上についてです。まず、近年の年代別の投票率はどのようになっているのかお聞きいたします。
23 【総務部長(中島克人)】 近年の年代別の投票率でございますが、市内投票所1カ所を指標として集計、分析した最新のデータは、昨年12月の衆議院議員総選挙となりますが、これによりますと20歳代が約26%、30歳代が約39%、40歳代が約48%、50歳代が約58%、60歳代が約69%、70歳代が約67%、80歳代が約49%という状況であります。特に20歳代の投票率は低い状況で、過去の選挙においても同様な傾向にあると思っております。
24 【16番(
三森和也議員)】 特に20歳代の投票率が約26%で最も低いとのことでございます。全国的な傾向でもあると思いますが、若年層の投票率を引き上げることで全体の投票率向上につながるものと考えております。本市の今後の取り組みについてご所見と対応をお聞きいたします。
25 【総務部長(中島克人)】 本市の今後の取り組みについてでございますが、国会でも18歳選挙権に係る公職選挙法の改正の審議におきまして、国や社会の問題を自分の問題として捉え、みずから考え、みずから判断する主権者の育成がキーワードになっておりましたが、本市におきましても
主権者教育の重要性に鑑み、
市教育委員会とさらなる連携を図りながら、選挙の意義、重要性について理解を深めてもらうため、具体的な事例を交えながら、より効果的な啓発について検討してまいりたいと考えております。
26 【16番(
三森和也議員)】 本市内の大学等に在学している学生も多くいるものと思います。市内にキャンパスのある大学では総数で6,000名を超える学生が学んでおります。また、短大では300名弱や、さらには専修学校も文化、医療、商業、工業等あり、在学者数はさらに多い状況にあります。特に若年層では政治は誰がやっても変わらないと聞くこともありますが、有権者としての意識を高め、投票行動につなげるための啓発活動を積極的に行うべきと考えます。今後の啓発活動についての対応をお聞きいたします。
27 【総務部長(中島克人)】 大学生への啓発に係る今後の取り組みについてでございますが、本市では現在、前橋市明るい
選挙推進協議会の啓発活動への大学生による
ボランティア参加の推進を図っており、さらに学生が集まる合同学園祭での啓発活動についても計画しているところでございます。ご指摘をいただいた視点も含め、大学、高校及び市の
教育委員会と連携を図りながら、多角的により効果的な啓発について検討してまいりたいと考えております。
28 【16番(
三森和也議員)】 さらにお聞きいたしますが、
投票率向上策として投票所の増設も重要な方法であると考えております。他市では、
ショッピングセンターやJR等の駅で実施しているところもあると承知しておりますが、本市では具体的には年間100万人以上が来館する元気21の1階に
証明サービスコーナーが設置されており、本庁舎と住民票発行など手続可能なオンラインシステムが既にある利点から、
個人情報管理も行え、期日前投票所の設置環境はあるのではないかと考えます。本市の見解と対応についてお聞きいたします。
29 【総務部長(中島克人)】 本市でも実践しているとおり、
投票率向上策として期日前投票所の環境整備につきましては有効な手段の一つであると認識しております。ご指摘をいただきました前橋プラザ元気21については、同じ管内に市役所の期日前投票所を設置しており、他の各地域とのバランス、
選挙事務従事職員の確保及び経費的な側面などの問題もございますが、有権者の利便性、投票機会の確保という観点において投票状況を注視しながら今後研究してまいりたいと考えております。
30 【16番(
三森和也議員)】 本庁舎は投票のために来られる方が多いというふうに思っております。元気21は学習会やイベント等に来られながら投票もできるという利点があると思っておりますので、
さまざま課題はあると思いますけれども、先ほども期日前投票、かなり投票率が高くなっているということもお聞きしておりますので、期日前投票所の早期の設置に向けて強く要望をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
次に、知的障害者等の投票権に関しお聞きいたします。まず、点字広報についてお聞きします。選挙公報として選挙期間中に各候補者の政策、公約などを新聞紙面で有権者向けに発行され、有権者の選択の判断材料として大変有効であり、一般的に定着している方法と認識しております。候補者が多くなればなるほど全員の演説など訴えを直接聞くことは難しい中で、選挙公報の意義は非常に大きいと考えております。そこで、視覚障害者向けの広報について、通常の選挙公報と同様の内容の情報を提供するため、障害の特性に応じた情報提供方法となることから、点字広報等を導入すべきと考えます。ご所見と対応についてお聞きいたします。
31 【総務部長(中島克人)】 視覚障害者向け広報などの取り組みについてでございますが、国政及び県政の選挙におきましては県
選挙管理委員会が群馬県視覚障害者福祉協会に作成を委託しまして、点字版の広報を同協会会員に送付するなどの事業を実施している状況でございます。有権者が候補者を自分の意思を持って選択するためには、選挙公報などの情報が必要と認識しておりますので、本市の選挙に係る同様の取り組みにつきまして、県を参考にし、他市の状況を踏まえながら実施に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
32 【16番(
三森和也議員)】 実施に向けて取り組むとのことでありますので、2月に行われる前橋市長選より実施できますよう要望しておきます。よろしくお願いいたします。
続けて、知的障害者等の投票権に関し、特に意思表示確認等についてお聞きします。2013年5月、成年後見人がつくと選挙権を自動的に失うとされた公職選挙法が改正され、知的、精神障害者、認知症を有する方を中心に一気に選挙権が回復されました。以来、一人一人の障害程度、状態は違うことから、投票所における知的障害者等の意思表示確認、意思表示のための援助は地方自治体で試行錯誤しつつ対応してきたと仄聞しております。20歳以上はもとより、18歳以上の方は誰でも投票権を有することとなりました。投票権を行使するに当たり、重度の知的障害、自閉症、認知症等を有する有権者の意思表示確認のための取り組み状況についてお聞きいたします。
33 【総務部長(中島克人)】 知的障害などを有する有権者の意思の確認のための取り組み状況についてでございますが、本市の期日前投票及び当日投票における事務取扱要領におきまして、有権者の意思表示について示しているところでございます。その内容といたしますと、意思の確認は有権者本人の口頭によることを原則として、やむを得ない場合に限り有権者本人が記載台の氏名等掲示の候補者名を明確に指し示していただくことで確認する、いわゆる代理投票制度について事務従事者に対して指導しているところでございます。
34 【16番(
三森和也議員)】 一人一人の状態に応じた意思確認、さらにできますよう今後は福祉部と連携を図りながら強めていただきたいと思っております。投票所の記載台の氏名では難しい場合も想定されると思っております。そういった場合、関係団体と密な情報交換、さらには情報把握などもお願いしておきたいと思います。
次に、病院や入所施設に入院中、入所中の有権者の投票に関しお聞きします。群馬県
選挙管理委員会が50床以上の施設者の申請により、指定した病院や高齢者、身体障害者施設などに入院、入所中の有権者は施設内で不在者投票ができることとされております。身体的に外出が困難である等の状況から、投票権の確保、行使の上で大変重要な制度であると認識しております。高齢者施設を初めとして急速に増加している背景から、不在者投票の対象者も増加しているものと考えております。そこで、現在までの病院、高齢者施設、障害者施設の指定状況についてお聞きいたします。
35 【総務部長(中島克人)】 本市の病院、高齢者施設、障害者施設など不在者投票施設の指定の状況についてでございますが、病院が14カ所、高齢者施設が31カ所、障害者施設が1カ所となっております。これは、本市で認識している限りにおきましては、不在者投票施設の指定が受けられる条件を備える施設のうち約7割が指定されている状況でございます。
36 【16番(
三森和也議員)】 7割ということでございます。投票環境整備のため市内全ての施設が指定となることが望ましいと考えております。私の調査によれば、指定状況は、病院17施設のうち14施設、障害者施設4施設のうち1施設、高齢者施設は特別養護老人ホーム24施設のうち20施設、老人保健施設11施設のうち6施設、介護つき有料老人ホーム8施設のうち2施設、サービスつき高齢者住宅2施設のうちゼロ施設、住宅型有料老人ホーム5施設のうち1施設などの実態であります。今後特に老人福祉施設、障害者福祉施設の指定促進が必要と考えます。そのため、施設から指定を申し出ていただくための働きかけを積極的に行うべきと考えます。本市のご所見と対応状況についてお聞きいたします。
37 【総務部長(中島克人)】 不在者投票施設の未指定施設に対する申請の勧奨につきましては、本市といたしましても有権者の利便性、投票機会の確保の観点から非常に重要なことであると認識しており、過去に実施したこともございますので、県の指定状況を確認しながら、少しでも多くの未指定施設が県の
選挙管理委員会へ申請していただけるように市として今後積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
38 【16番(
三森和也議員)】 ぜひ積極的にお願いしたいと思います。
次に、健康増進施策の充実、エリアマネジャー制度の取り組みについてお聞きします。本市では、市民の健康増進等の重要性から、その中心的施策としてエリアマネジャー制度を他市に先駆けて導入し、平成25年から取り組んでいただいております。その目的は、専門職である保健師が連合自治会単位の地区担当として配置され、地区の子供から高齢者まで幅広い世代を対象に、より密着した立場で健康増進、疾病予防等に取り組んでいるものと認識しております。誰でも心身ともに健康でありたいと願っておりますので、健康増進施策として大変期待しております。まず、現在までの取り組み状況についてお聞きいたします。
39 【健康部長(塚越弥生)】 これまでの取り組み状況でございますが、平成25年度から地区ごとに健康情報や生活状況を整理し、保健推進員さん方と情報を共有しながら地域の実情に沿った健康づくりを進めております。具体的には、健診受診率向上のためのマップづくりやポスター掲示、地区文化祭への新規参加、すこやか健康教室やいきいき健康教室の開催、託児つき子宮頸がん検診の実施、健康情報の回覧や家庭訪問による周知など、地域関係者のご協力をいただきながら取り組んでおります。また、平成26年度は、自治会や地域団体のご要望によって地区に出向いて実施をしておりますいきいき健康教室は230会場を超え、またいきいき健康相談も50会場を超えて開催ができ、前年度と比べて約倍の開催となっており、両事業へは合わせて1万3,000人を超える地域の方にご参加いただいたところでございます。
40 【16番(
三森和也議員)】 把握した情報の地区へのフィードバックは、健康増進施策の具体的な取り組みのため重要であり、健康意識向上や健康づくりの促進に大きく役立つものと思われます。そこで、具体的な一人一人の健康づくりの実践に結びつくこと、さらにはどの地区もまちづくりとして取り組まれることが重要であると考えます。今後の取り組みについて、ご所見と対応をお聞きいたします。
41 【健康部長(塚越弥生)】 今年度のエリアマネジャーの取り組みについてでございますが、健康課題を周知し、解決に向けた情報発信を行うことを目標といたしました。健康部重点事業として取り組む糖尿病重症化予防事業の中で、各地区ごとの糖尿病の現状と重症化予防対策について、地域の会議やいきいき健康教室、あるいはいきいき健康相談、家庭訪問など保健師が地域へ出向くあらゆる機会を通じて糖尿病の重症化予防について周知啓発を行うとともに、生活習慣の改善に向けた支援や相談に対応してまいります。また、今年度地域の健康づくりのかなめとなります保健推進員さんについて、任期がえのため全体の6割の方が新しくなっておりますので、エリアマネジャーは保健推進員活動がスムーズに行えるよう、地区定例会の開催や研修の実施など活動支援を行うことで行政との連携強化、健康情報の共有化を図りながら地域の健康づくりを進めているところでございます。
42 【16番(
三森和也議員)】 さらにお聞きいたしますが、これまでの活動を継続していただきつつ、より地域に密着した取り組みとなるよう、地区保健推進員とも連携を図り、例えば地区公民館等で健康相談日等を定期的に設け、定着を図っていただきたいと考えております。地区担当制による地域密着型の健康増進施策として住民と顔見知りの状況をつくることが健康に関しての啓発はもとより、より地域の生活にかかわった活動となることから、健康づくり施策の一層の促進が図れると考えるからであります。当局の見解と対応についてお聞きいたします。
43 【健康部長(塚越弥生)】 地域密着型の健康増進施策で住民と顔見知りの状況をつくること、こういったことは非常に有意義なことと考えます。そのため、自治会や保健推進員を初め地域の関係者との連携を図り、地域の実情を教えていただき、ご協力をいただきながら活動を進めております。
現在、地区や団体などの要望に基づいて住民の身近な場所で行っております健康相談に地区公民館での定期的な開催を追加するとのご提案をいただきましたが、定期的な健康相談を含め、市民にとってどのような相談体制が最良なのか、自治会や保健推進員さんなど地区関係者とエリアマネジャーとが協議をしながら進めてまいりたいと考えております。
44 【16番(
三森和也議員)】 よろしくお願いいたします。
時間の関係で福祉施策の充実についてお伺いいたします。最初に、子育て支援についてお聞きします。放課後児童クラブについては、既に質問がございましたので、障害児放課後等デイサービスの設置状況と今後の取り組みについてお聞きします。障害児放課後等デイサービスは、法律改正により平成24年度から開始されており、障害のある児童の健全な育成を図るため、放課後や長期休暇中に遊びや集団生活をともにする中で成長、発達を促すことを目的とした施設で、小学生から高校生までを対象に一人一人に合った支援をしていく場となっております。放課後を過ごす場として利用希望者が増加していると仄聞しておりますが、現在までの設置状況、利用者数、利用日数の推移についてお聞きします。また、今後の取り組みについて、設置の際には地域バランスに配慮していただきたいと考えます。ご見解と対応についてあわせてお聞きいたします。
45 【福祉部長(宮下雅夫)】 障害児放課後等デイサービス事業の推移についてですが、事業所の設置数は、各年度4月1日現在の状況で、平成25年度10カ所、平成26年度11カ所、平成27年度13カ所と増加してございます。また、利用者数及び利用日数につきましては、1カ月間の利用実績になりますが、平成25年3月で見ますと実利用者166名、延べ利用日数1,756日、同様に平成26年3月は181名、2,027日、平成27年3月で198名、2,559日となっており、全ての数値で伸びている状況でございます。このように利用者の高いニーズが見てとれる放課後等デイサービス事業ですが、事業所の指定権限は群馬県が担っております。今後も事業所の新規開設が見込まれる状況ですので、前橋市として地域バランスに配慮した設置や事業者の適切な資質の確保等について県へ要望させていただくとともに、連携を図りながらサービスの充実に努めたいと考えております。
46 【16番(
三森和也議員)】 よろしくお願いいたします。
次に、高齢者福祉、地域包括ケア等についてです。地域包括ケア体制整備に関しお聞きします。本市には11カ所の地域包括支援センターがあり、直営で包括支援センターを統括する機能の基幹型地域包括支援センター中央と10カ所の市から委託を受けた各地域包括支援センターにより運営されております。その役割は、介護等の総合相談を初め、地域ケア会議の開催、介護予防ケアプランの作成や、認知症にかかわる相談、ひとり暮らし高齢者の生活状況の把握など、幅広い業務を担っていただいております。近年の相談件数は、11カ所合わせて平成23年度が6,839件、24年度8,659件、25年度1万958件、26年度1万2,442件と年々増加しております。まず、相談件数が増加している要因についてお聞きします。また、相談経路についてもあわせてお聞きいたします。
47 【福祉部長(宮下雅夫)】 地域包括支援センターの相談件数についてでございますが、議員さんご指摘のとおり大幅に増加しております。その要因といたしましては、地域包括支援センターを設置して今年度で10年目となり、その間地域の中で高齢者の支援を地域の方々と地道に進めてきたことにより、高齢者の相談はお気軽に包括へということが認知されてきた点が大きいのではないかと考えております。また、高齢者人口の急激な増加はもちろん、社会事情の変化などによる高齢者虐待や消費者被害などの課題の複雑化も一つの要因だと考えております。相談経路につきましては、地域にかかわりの深い民生委員さんや直接高齢者にかかわりのあるケアマネジャーさんからの相談が多くございます。さらに、医療などを含めた地域包括支援ネットワークも着実に広がりつつありますので、多職種の方々にも地域包括支援センターの役割を認識していただき、さまざまな相談にうまく連携ができるようになってきていると考えております。
48 【16番(
三森和也議員)】 増加要因についてはわかりました。相談件数が増加する中で、業務量は増大しております。業務量が増大しますと、物理的に丁寧な相談体制に影響が及ぶことも危惧されると現場の方々からお聞きしております。一人一人の状況に応じた丁寧な相談業務を維持し、一層の相談体制を確立するための対策が必要であると考えます。ご所見と対応状況についてお聞きいたします。
49 【福祉部長(宮下雅夫)】 地域包括支援センターの体制維持についてですが、今年度より地域包括支援センター業務の現状から必要人員を積算し、職員の増員とこれに伴う委託料の増額を行っております。今後におきましても制度改正などの状況変化に対応し、きめ細かな対応が維持できるよう体制の見直しを図ってまいりたいと考えております。
50 【16番(
三森和也議員)】 委託先10カ所には職員の増員に伴う委託料の措置がなされました。他方、直営基幹型の地域包括支援センター中央への対応はまだなされていません。各地域包括支援センターへの相談が増加していることにあわせ中央への相談も増加しております。具体的には人員体制等組織体制の強化、さらには地域包括ケア体制整備のため医療と介護の連携をしっかり行うこととなることから、医療分野を所管している健康部との連携体制づくりが喫緊の課題と考えております。ご所見と対応をお聞きいたします。
51 【福祉部長(宮下雅夫)】 地域包括ケアシステムに特化した体制づくりをということですが、地域包括ケアシステムの構築を推進するに当たっては、さまざまな取り組みの中でもとりわけ在宅医療と介護の連携及び新総合事業への移行に伴う生活支援サービス体制の構築が急務となっております。こうしたことから、行政の内外を問わずさまざまな所属や機関との連携、協力が不可欠となりますので、基幹型包括としての体制づくりに加え、地域包括ケアを推進するための横断的な体制づくりについても検討してまいりたいと考えております。
52 【16番(
三森和也議員)】 次に、介護保険制度の改正に伴う要支援者である軽度認定者、要支援1、2の方の訪問介護、通所介護サービスの市町村事業である地域支援事業への移行による対応についてです。改正内容は、これまでの専門職によるサービス提供から多様なサービス主体としてボランティア等もサービス提供者に含める内容のものです。制度移行に向け、本市では、1点目として要支援と認定された方の既にサービスを受けている要支援者、要支援1、2のサービスの継続性に配慮して、現行の介護予防訪問介護及び通所介護と同様の専門的なサービスに適切につなげていく、2点目として新たに要支援1、2の認定を受けられた方についても、制度移行当初は、まずは専門的なサービスの利用を主体にサービス提供体制を確保する、3点目としてさまざまな主体による多様な生活支援のサービスへと段階的に利用を拡大していく、4点目として平成27年4月からの総合事業の開始時期については、実施を最大平成29年4月まである猶予期間を活用する等としています。これらのことから、今後専門職とボランティア等の役割分担など、制度運営の具体化に向けた準備が行われることとなりますが、今後の体制整備に向けた準備についての考え方とあわせ、進め方についてもお聞きいたします。
53 【福祉部長(宮下雅夫)】 新しい総合事業移行への準備についてでございますが、既に移行している市町村等におきましては、実施市町村や事業者の間に少なからず混乱が生じているとも聞いております。また、今回の介護報酬改定は事業所経営に予想以上に影響があるとの声も聞いております。こうしたことから、新しい総合事業の円滑な導入を図るためには、利用者のサービス利用の確保を図っていく視点だけではなく、介護保険サービス事業者の協力が不可欠であると考えております。今後の体制の整備におきましては、サービスの提供量と質の確保を図りつつ、事業者が円滑に新しい総合事業に参入できるよう、事業所指導などの機会を通じてきめ細かな説明に努め、事業者の声を聞きながら混乱のないよう丁寧に準備を進めてまいりたいと考えております。
54 【16番(
三森和也議員)】 ぜひ事業者の意見もしっかりと踏まえながら検討していただけますよう重ねてお願いしておきます。
福祉施策の最後に、認知症対策についてお聞きします。まず、要介護認定を受けている要介護認定者の人数、そのうち認知症と診断されている人数についてお聞きします。また、増加傾向にあるのかもあわせてお聞きいたします。
55 【福祉部長(宮下雅夫)】 認知症に関連してのご質問ですが、最初に要介護認定者数でございますが、平成27年3月末現在で1万6,204人となっており、そのうち認知症高齢者の日常生活自立度2以上の高齢者数は9,635人で、要介護者数に占める比率は59.5%となっております。
次に、増加しているかということでございますが、平成24年6月時点の7,946人と比較しますと、約3年の間に認知症高齢者数は1,689人増加しており、率にして19.5%の増加となっております。
56 【16番(
三森和也議員)】 この3年間で19.5%増ということでございます。現在国を挙げて認知症施策推進総合戦略、新オレンジプランを推進しております。認知症を有する方は2012年に462万人、2025年には約700万人と推計される中、その基本的考え方を認知症の人の意思が尊重され、できる限り地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指すとしています。具体的取り組みとして、認知症への理解を深めるための普及啓発の推進が大きな柱の一つとなっており、認知症サポーターの養成と活動の支援、学校教育等における認知症の人を含む高齢者への理解の推進としています。理解を深める啓発活動は、認知症を有する方や家族が自分らしく地域で生活していくための活動として大変重要である取り組みであります。認知症の方を在宅で介護する家族の過酷とも言える生活の現状は想像を絶するものであります。市民一人一人の理解による市民総参加の取り組み活動の促進が喫緊の課題であると考えております。
そこで、認知症サポーター養成の現状と養成講座修了者のより上級な講座実施など、地域や職域の実情に応じた取り組みの推進、学校での認知症の人を含む高齢者への理解を深めるような教育の推進について、ご所見と対応をそれぞれお聞きいたします。
57 【福祉部長(宮下雅夫)】 認知症サポーターの養成講座につきましては、出前講座等で市内のさまざまな団体を対象に実施しており、平成26年度の実績としては実施回数33回、受講者は1,032人であり、通算で延べ1万5,000人の方が認知症サポーターになっております。講座の依頼は市民の団体からが約半数を占めますが、最近は高齢者に接する機会の多い銀行、郵便局、商店などの職域からの依頼がふえており、それぞれの受講者に合わせて認知症の方に接する際の声かけや対応方法の例などを変えて実施し、理解を深めていただいております。この講座は、より多くの方に認知症を正しく理解していただき、偏見をなくしていくことを目的としているため、上級な講習というよりも、まずはできるだけ多くの方に受講をしていただきたいと考えており、さらに積極的に講座を実施してまいりたいと考えております。また、小中学生向けには専用テキストや講座を用意して学校での講座も実施しておりますが、学校は年間のカリキュラムに沿って授業をしているため、年間数校程度の実施にとどまっております。今後も
教育委員会と連携を図り、学校での開催をふやしてまいりたいと考えております。
58 【16番(
三森和也議員)】 これで質問を終わります。ありがとうございました。
(20番 阿部忠幸議員 登壇)
59 【20番(阿部忠幸議員)】 順次質問を行います。
障害者優先調達推進法について伺います。本年4月に策定された第4期前橋市障害福祉計画の中で、障害者施策の動向として、国や地方公共団体による障害者就労施設等の受注の機会の確保等を目的とし、平成25年4月に国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律、いわゆる障害者優先調達推進法が制定されたとの説明がありました。この法律の概念及び取り組みの状況についてお聞きいたします。
60 【福祉部長(宮下雅夫)】 障害者優先調達推進法についてですが、この法律は障害者就労施設等からの物品及び役務の調達の推進等に関し、受注の機会を確保するために必要な事項等を定めることにより障害者就労施設等が供給する物品及び役務に対する需要の増進等を図り、もって障害者の就労及び自立の支援に資することを目的としております。
本市の取り組みとしては、福祉部局のみならず、全庁的な取り組みが有効的な推進につながるため、毎年度調達方針を策定するとともに、庁内に推進会議を設置し、全部局を対象として可能な限り障害者就労施設等への物品、役務の発注をふやすよう努めております。その結果、平成25年度の発注実績は約1,374万円、平成26年度では約2,069万円の発注実績となっております。
61 【20番(阿部忠幸議員)】 私は、障害のある方が自立した生活を送るためには就労によって経済的な基盤を確立することが大変重要だというふうに思っています。平成25年度、26年度の発注実績の答弁をいただきました。全庁的な取り組みにより成果が上がっているようでありますけども、平成26年度における具体的な物品、役務等の発注状況と今後の取り組みについてお聞きいたします。
62 【福祉部長(宮下雅夫)】 障害者就労施設等からの物品及び役務の調達の平成26年度の実績でございますが、物品の購入状況につきましては、トイレットペーパーのほか学校給食用の野菜など、合わせて約95万円の購入実績となり、役務等の発注状況としましては、建物の清掃業務やサイクリングロード等の除草業務、文書シュレッダー業務など、合わせて約1,974万円の実績を上げることができました。平成27年度は昨年度の実績を上回るよう、引き続き関係部局の協力を得ながら、さらなる発注を目指してまいりたいと考えております。
63 【20番(阿部忠幸議員)】 地方公共団体は、毎年度障害者就労施設等からの物品等の調達方針を作成し、当該年度の終了後、調達の実績を公表することとなっております。先ほど答弁をいただいたものが調達実績だと思います。本市の平成27年度調達目標金額は1,900万円と聞いております。平成26年度の調達目標金額は1,700万円でしたから、実績は2,000万円強でしたので、平成27年度は26年度実績を踏まえて、それ以上の実績が上がるよう期待したいと思います。伺うところによりますと、平成24年度の給料が1万4,000円程度だという話も聞きました。平成26年度は1万6,000円に上がっているというふうにも聞いております。働いている人たちは少しでも給料が高いほうがいいわけで、経済的な基盤をしっかりすることは働きがいがあるというふうに思います。当局の一層のご努力をお願いしたいと思います。
次に、障害者差別解消法について伺います。この質問についても第4期前橋市障害福祉計画の中で記載されております。国連の障害者の権利に関する条約の締結に向けた国内法制度の整備の一環として、障害者基本法の理念に基づき、平成25年6月に障害者差別解消法が制定され、来年4月1日に施行されます。この法律では、障害者への差別的扱いの禁止、合理的配慮の提供などの措置が定められました。この法律の概念及び取り組み状況についてお聞きいたします。
64 【福祉部長(宮下雅夫)】 障害者差別解消法ですが、この法律は、障害を理由とする差別の解消を推進することにより、全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指すことを目的として制定されたものです。国及び地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、一般的な責務として障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を実施することが義務づけられました。これに伴い、本年2月に内閣府から障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針が通知され、不当な差別的取り扱いや合理的配慮等についての基本的な考え方が示されたところであり、今後はこの基本方針に則して不当な差別的取り扱いの具体例や合理的配慮の好ましい事例等を示す対応要領が示される予定となってございます。本市としましては、来年4月の施行に向けまして引き続き情報収集等を行ってまいりたいと考えております。
65 【20番(阿部忠幸議員)】 この法律は、国、地方公共団体だけでなく民間事業所、個人事業所、NPO等の非営利事業所を含むと聞いています。不当な差別的取り扱いは国、地方公共団体、民間事業所では禁止となります。また、障害者への合理的配慮については国、地方公共団体は法的義務を負いますが、民間事業者については努力義務が課せられると聞きました。施行に当たり、個人事業者には情報が少ないと思われますので、特に個人事業者等への周知をお願いしたいというふうに思っています。
次に、天井の改修についてお伺いいたします。平成23年3月に発生した東日本大震災では、体育館、ホール等の建築物で天井が脱落し、甚大な被害が出ました。このような被害を踏まえて、国は天井の脱落対策に対する基準を新たに策定し、建築基準法施行令、省令を改正し、平成26年4月に施行されました。脱落によって重大な危害を生ずるおそれがある天井を特定天井と規定して、大臣が定める基準に従って脱落防止策を講ずることが定められました。内容については幾つかの要件がありますが、その一つに天井の高さが6メートルを超える天井部分で、かつ床面積が200平米を超えるものとなっております。そのことを踏まえて、本市には幾つかの対象物がありますので、お伺いいたします。
最初に、対象物であります市民文化会館について伺います。当館は、大ホール客席側約850平米、舞台側約700平米、小ホール客席側約400平米、舞台側約250平米であり、特定天井となります。今定例会に上程されております一般会計補正予算議案の中で債務負担行為補正として市民文化会館の耐震補強、大規模改修工事が計上されております。今回予定されている内容はどのような改修工事なのか伺います。また、市民文化会館の大胡分館シャンテについては耐震補強を行う予定があるのかについてもあわせてお伺いいたします。
66 【文化スポーツ観光部長(靜知明)】 市民文化会館の耐震補強、大規模改修工事についてでございますが、平成28年度を工期として、柱と大ホールの壁の補強、ホールの天井の改修並びに大ホールの椅子やエレベーターなどの改修を予定しております。そのため、会館の運営は平成28年度の1年間休館して工事を実施したいと考えており、今回の工事によりまして安全性の確保と利用者の利便性、満足度の向上に努めたいと考えております。
また、大胡分館シャンテでございますが、建物としての耐震基準はクリアしており、直ちに補強工事を行う必要はございませんが、天井に係る新基準は満たしておりませんので、今後建物を増改築する際には天井を改修したいと考えております。
67 【20番(阿部忠幸議員)】 市民文化会館の利用者の対応についてお伺いいたします。
市民文化会館を1年間休館して工事を行うということでございますけども、工事期間中、市民文化会館を定期的に利用してきた方々、また使用を考えている市民には大変不便が生じると思います。休館中における利用者への対応についてはどのように考えているのかお伺いいたします。
68 【文化スポーツ観光部長(靜知明)】 1年間の休館で利用者の方々には大変ご不便をおかけすることとなりますが、その対応につきましては、平成22年度の改修工事と同様に、大胡分館シャンテの利用を案内するとともに、県施設でありますベイシア文化ホールと連携するなどして利用者の不便を少しでも解消できるように努めてまいりたいと考えております。
69 【20番(阿部忠幸議員)】 改修とはちょっと離れますけども、いつも市民文化会館について駐車場が狭いという話は結構聞くんです。ですから、改修とは違いますけども、その駐車場についてもあわせて検討していただくことを要望しておきたいというふうに思います。
次に、前橋テルサについてお伺いいたします。前橋テルサにおいても客席側が約670平米、舞台側が180平米であり、特定天井であります。脱落によって重大な危害を生ずるおそれがあり、脱落防止のための改修を行う必要が生じてくると思いますけども、その時期や方法について、今後の改修工事についての考えをお聞きいたします。
70 【産業経済部長(岩佐正雄)】 前橋テルサホールのつり天井につきましては、議員さんのほうからもご指摘いただきましたとおり改正建築基準法によります特定天井に該当することから、落下防止措置を講じていく必要があり、所要の検証等を進めておるところでございます。具体的な方法につきましては、落下防止ネットを設置する工事となる見込みでございますけれども、当該施設につきましては年間を通じ多くの市民の方々にご利用していただいている施設ということもございまして、安全性の確保を最優先としつつ、できる限り利用者にご迷惑をかけないよう、時期についてはエレベーター等の他の改修工事とあわせるなど、各事業者と協議の上、調整して実施する予定でございます。
71 【20番(阿部忠幸議員)】 この施設も工事を行うようになれば工期も相当かかると思います。営業にも影響出ると思いますし、事業所と協議の上、利用者に大きな影響が出ないよう配慮していただきたいと思います。あわせて、早期に工事を着工できるようお願いしておきたいというふうに思います。
次に、サンアビリティーズについてお伺いいたします。上佐鳥町にある市民体育館西側にあります前橋サンアビリティーズも特定天井であると思いますが、どのような対応しているのかお伺いいたします。
72 【福祉部長(宮下雅夫)】 障害者教養文化体育施設、通称サンアビリティーズにつきましては、体育室天井の面積が693平米ございまして、特定天井でございます。これにつきましては、撤去工事に係る本年度当初予算として2,850万円を計上してございます。現在は撤去工事の設計段階に入ってございまして、本年度中には撤去を完了したいと考えてございます。
73 【20番(阿部忠幸議員)】 この施設は、障害者の機能の回復や健康の増進、教養文化の向上、コミュニケーション、スポーツレクリエーション等を目的とした施設であります。また、利用に支障がなければ障害者以外の方も体育館のみ利用ができるというふうに聞いております。速やかに工事が行われ、極力利用者に支障が出ないようお願いしておきます。
続いて、教育施設についてお伺いいたします。平成25年8月に文部科学省から高さ6メートルを超える天井または床面積200平米以上の空間を持つ体育館等の天井について落下防止対策を行うよう通知が出され、本市も順次対応が進められていると思います。平成26年4月1日現在でつり天井を有する施設が49棟あると報道されております。文部科学省の通知では速やかに対策を実施するようとなっておりますが、報道後の対応状況や未実施の施設の今後の計画についてお伺いいたします。
74 【教育次長(関谷仁)】 ご質問の本市におけるつり天井を有する教育施設は、平成26年4月1日現在で49棟でございました。本年4月1日現在では14棟減の35棟が残っている状況でございます。撤去工事については、国の補助を最大限取り入れ、市の財政負担を極力抑えつつ、学校の行事に配慮した工期設定に努めることにより進めてまいりました。また、平成25年8月7日付文部科学省の通知では、平成27年度までの速やかな完了を目指すとございますが、近年の労働者不足や工事価格の上昇などにより文部科学省の指導する平成27年度までの完了は難しい状況でございます。今後につきましては、対象となる全ての施設の天井改修を早期に完了させるため、財政状況及び市場の動向を見据えながら計画的に進めてまいりたいと考えております。
75 【20番(阿部忠幸議員)】 答弁をいただきましたけども、ご案内のように労働者不足等の諸般の事情もあり、また学校は工事を行う時期も限られているわけであります。また、施工業者もこの天井内装工事については限られているということでございます。市の財政なども考慮すると、短期間に多くの工事を行えないことも承知しております。複数年の期間も考えられるわけであります。文部科学省の指導による年度に少しでも近づけるようお願いしておきたいというふうに思います。
続いて、日赤問題についてちょっとお伺いしておきます。最初に、活用計画の現状についてお伺いしたいというふうに思います。歯科医師会館の移転についてお伺いしておきます。岩神町に前橋市歯科医師会館がございます。そこは歯科医師会の事務局が置かれており、また休日診療の機能もあり、現に休日診療もしております。夜間急病診療所の移転の際にはその歯科医師会もあわせて移転していただくことも考えられますけども、見解をお聞きしたいというふうに思います。
76 【市長(山本龍)】 日赤CCRCに関して、私のほうからお答えさせていただきます。今阿部議員がおっしゃられるように、歯科医師会館の日赤跡地移転、これにつきましては歯科医師会とも水面下で協議を始めております。今回の移転計画のイニシアチブが現在前橋市、そして群馬県知事、そして日赤群馬県支部、この3者に跡地利活用検討委員会のほうから委任を受けておりますので、その中で十分協議をしながら動いていこうと思っております。ただ、歯科医師会の意向はどうであろうかということは心配しておりました。会長からも具体的なビジョンが示されるならば前向きに研究したいという意見をいただいております。
77 【20番(阿部忠幸議員)】 何点か病院についてお話を聞こうと思っておりますけども、その先にちょっと進めさせていただきたいというふうに思います。
【議長(真下三起也議員)】 この際、暫時休憩をいたします。
(午後0時9分)
◎ 再 開
(午後1時8分)
138 【副議長(阿部忠幸議員)】 休憩前に引き続き会議を開きます。
総括質問を続けます。
(18番 浅井雅彦議員 登壇)
139 【18番(浅井雅彦議員)】 それでは、総括質問させていただきます。
一番最初に、生命都市前橋についてであります。本市では、平成20年度から29年度までの10カ年間を期間とする第六次総合計画において、その目指す将来都市像を生命都市いきいき前橋としていることは周知のとおりであります。そして、冒頭、その言葉の定義として、生命都市いきいき前橋は、人もまちも生き生きと輝く都市です。少子化、高齢化が進み、社会環境が大きく変化していく中で、前橋市がこれまで以上に魅力ある都市として発展していくためには、都市の個性を磨き、都市の活力を高めていくことが必要です。これからの前橋市は、今ある地域特性を改めて見詰め直し、それらを十分に生かしながら、新しい前橋の個性を生み出していくまちづくりを進めます。前橋らしさを伸ばし、都市の魅力と活力を高めることで、市民誰もが安全に安心して生き生きと暮らすことができる生命都市いきいき前橋の実現を目指しますとしています。それから8年。現在の前橋の姿をこの生命都市の観点から伺ってみたいと思います。
まず第1番目に、群馬大学医学部附属病院重粒子線がん治療についてであります。昨年の第4回定例会においても質疑を行いましたが、今般、群馬大学医学部附属病院においては、2010年から2014年の間に同病院において腹腔鏡手術のうち高難度の肝臓手術を受けた98人の患者のうち、少なくとも8人以上の死亡が確認され、同病院のコンプライアンスが問われる事態となり、その後、平成27年6月1日から特定機能病院の承認が取り消されることとなり、さらには同病院において推進されている重粒子線治療以下合計11種の先進治療の新規患者の受け入れが一時停止されるという事態となっております。伺いますが、患者、市民が安全、安心な医療を受けられるよう、前橋市としてこの問題にどのような認識でどのように取り組まれているのでしょうか。まず伺います。
140 【健康部長(塚越弥生)】 群馬大学医学部附属病院における一連の問題への取り組みについてでございますが、病院が提供してきた高度医療には重粒子線治療を初めとする先進医療が含まれ、これまでも多くの患者さんが治療を受け、また多くの患者さんが治療を待っている状況でございます。本市保健所としては、1月に厚生労働省とともに病院に対する臨時の立入検査を実施し、その時点で再構築された医療安全管理体制の改善策や報告体制の整備状況などについて調査し、指導してまいりました。さらに、翌2月にも同省とともに年次の定期立入検査を実施し、改善策が院内で共有され、引き続き確実に実践されているかなどの調査や指導を行ってまいりました。必要によっては医療安全相談業務において患者さんやご家族などから寄せられる相談等に対して対応するとともに、病院の患者相談窓口や弁護士会の相談窓口など、適切な相談機関へのご紹介やご案内なども行ってまいりました。今後とも監視指導を通じて病院の安全意識の向上と信頼確保に向けた取り組みを支援し、患者さん方が安心して医療を受けられる環境づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
141 【18番(浅井雅彦議員)】 ただいまのご答弁で本来の業務である監視指導とあわせてこのような事態に戸惑われている市民の皆さん、患者の皆さんへの対応も進められているということであります。言うまでもなく、この群馬大学医学部附属病院は生命都市前橋の医療を支える重要な基幹病院であります。ぜひ正しくけじめをつけて、再スタートのための検証を的確に行い、一日も早く信頼される病院として地域の医療を支えてもらいたいというふうに感じております。
去る6月8日付の上毛新聞1面には重粒子線治療の停止、想定外患者が焦燥、119人の治療延期、産業振興にも影というような見出しが躍りまして、先進医療、特に重粒子線治療の新規受け入れ停止の影響の大きさを報じておりました。このような事態を受けて、群馬県議会では早期再開を要請する意見書がこの12日に採択されたようでありますし、我が前橋市議会においても同様の意見書案が提出されております。私もそれを支持するものではありますが、それはそれとして、まずは前橋保健所はしっかりと本来の業務である管理監督、指導を行っていただき、病院の信頼の確立をぜひ導いていただきたいと考えています。なぜならば、この一連の処分はただの医療事故の疑いのみではなく、群馬大学医学部附属病院の安全管理に対する体制や意識に大きな問題があるという疑問が呈されているということのあらわれであろうと感じるからです。しっかり前橋保健所の使命を果たしていただき、生命都市前橋の基盤を支えていただきますようにお願いを申し上げます。
続きましては、日赤病院跡地活用について伺います。既にここまでの総括質問の質疑において前橋赤十字病院では平成30年度の開院を目指し今年度から建設工事に着手することや、本市としては跡地に夜間救急診療所を移転させる予定であること、そして全体的な前橋赤十字病院移転後の跡地利用については、日本赤十字社がその主体となり、群馬県及び本市と連携しながら検討することが決まっているとのご答弁がありました。そして、あわせていわゆるCCRC導入の検討をされているということでありますが、多少重複をしますけれども、まずこのCCRCの導入に向けてどのような経緯でどのように考えておられるのかを伺います。
142 【市長(山本龍)】 今まさに浅井議員が前段の質問で申されたように、前橋市の特性の生命都市いきいき前橋に今回の日赤跡地利用として、老後の人たちが集い支え合うようなこの仕組みを導入するのは施策と合致すると判断しております。その中で前橋市の総合戦略特区の今回の枠組みの中でこの課題も含めて大きな柱にしていくように取り組みたいと思っています。
143 【18番(浅井雅彦議員)】 例えば朝日新聞のコトバンクによりと、CCRCとは継続的なケアつきリタイアメントコミュニティーの略であること、そしてアメリカでは主に中間層が主な利用者であり、自立して生活できるうちに入居するが、介護が必要になった場合でも原則として入居時に決められた月額費、場所等は変わらない。1970年代にアメリカにおいて登場し、年々ふえている。米国の業界団体によると、現在全米で約2,000のCCRCがあり、おおよそ60万人が生活しているというふうに載っております。私は、やっぱり先ほどの質疑と同様にタウンミーティングの市長の発言でこのことを知りまして、その後いろいろ調べてみました。このCCRCの考え方は、いわゆる日本の地域包括ケアの考え方とも非常に共通するところも多くて、現在の日本では先行して進んでいる事例もあるようです。さらに、地方創生のメニューにもあり、この制度の利用者は、平成27年4月から介護保険の住所地特例にも加えられるというような形での制度改正も考えられているようであります。そして、何より高齢者の住まい方を自立型、支援型、介護型と切れ目なく支えていこうという考え方は、地域の高齢者の暮らし方の一つのモデルとも言えるような事業かと、私も大変に共感を覚えるものであります。まだまだ本市では検討メニューの一つであろうかと思いますけれども、この前内閣府の資料を見ましたら、検討してこれから地方創生のメニューとして立候補しようと思っているというような一覧表の中に群馬県内ではみなかみ町と私どもの前橋市が載っておりました。それなりに着々と恐らく準備は進められているのではないのかと思います。
そこで提案なんですけれども、CCRC単体を考えるとまだまだよくわからないところもありますが、そうしたものの誘致で得たノウハウをこれからのまちづくりに生かしていく、そして例えば特定のまちや地域でそのCCRC的な機能を目指していくとか、CCRCの事例の中に岐阜市の駅前にあります再開発ビルディング等も載っておりました。ああいう縦型のまちづくりであれば、例えば8番街の活用等にも十分できるものであるかと思います。非常にトライしてみる価値が強いかと考えておりますけれども、その辺についての市長の考え方を伺います。
144 【市長(山本龍)】 浅井議員がおっしゃったとおりです。まさにぴったりそのとおりです。これは日赤跡地でやるというのは、ただそこに集住するだけのCCRCの一つのモデルです。実は今おっしゃったとおり前橋市が取り組もうとしている地域包括ケアというのは都市全域をCCRC化しようというチャレンジでございますから、それのモデルとして疑似的集合体コミュニティーをいろいろな方々、首都圏の方々が集まってくるということだけです。理念とすればまさにおっしゃるとおりです。そういう方向でトライしていきたいと思います。今おっしゃった岐阜市駅前の縦型の場合もある意味そうだと思いますが、あれはある意味日赤跡地と同じように疑似的なものでありまして、本質的にはその理念がオール都市に、市民に提供できるのが理想だろうと思っております。そういうふうに私が思っているだけでございまして、これは跡地利用検討委員会のほうから県、市、日赤群馬県支部の3名に委任を受けておりますので、その協議会の中で本市としてはこういう仕組みで日赤跡地を考えていますという主張をずっとこれからも伝えていくということで、正式にそういう方向で進んでいるということではありません。まだまだ協議しながら、市としても研究してまいりたいと思います。
145 【18番(浅井雅彦議員)】 ぜひ積極的に本当に進めていただきたいと思います。私は、あと市長の意気込みからしてもう既に土地の購入が決まったり何だりということかと思ったのですが、現状は検討段階だということがわかりました。
続きまして、生命都市前橋についての最後の質疑でハードを生かすソフトの充実について伺います。本市が生命都市を標榜できる要因の一つは、ここまで取り上げてまいりました群馬大学医学部附属病院や前橋赤十字病院、群馬中央病院、群馬県済生会前橋病院を初めとした数多くの病院や診療所などの医療機関が充実している都市だというところが重要な要素であると思います。ただ、その反面、その充実した医療環境が有効に活用されているかというと、私個人の印象ではありますけれども、まだまだ改善の余地があるというふうに感じています。例えば各医療機関がどのような診療科を備えているのか市民の認知度は必ずしも高いとは言えないのではないかと思います。いざ病気やけがをしたときに、市民が身近な医療機関のうち、どの医療機関がその病気やけがに的確に対応していただけるのか迅速に知りたいものだと考えます。このような市民の方の情報入手の手段の改善については現状どのようにお考えなのか伺います。
146 【健康部長(塚越弥生)】 市民の方の医療機関に関する情報入手の手段についてでございますが、県ではウエブ上で統合型医療情報システムにより医療機関に関する情報を詳細に検索できるサイトを立ち上げ、情報提供を行っております。また、前橋市医師会でもホームページ上で市内の医療機関について、診療科目、町名、医療機関名で検索ができるようになっております。本市においては、医療機関に関する情報提供についての独自のウエブサイトは立ち上げておりませんが、電話等でのお問い合わせについては、市民の方が医療機関に関するどのような情報をお知りになりたいのかなどを把握し、迅速に回答できるよう努めているところでございます。市民の方の全てがウエブにアクセスできる環境にあるわけではございませんので、これまでの電話等でのお問い合わせに対する回答に加え、ほかの情報提供の手法について今後も引き続き検討してまいりたいと考えております。
147 【18番(浅井雅彦議員)】 このまま続いてICTしるくプロジェクトについて伺いたいと思います。まず、現在の状況であります。本年の3月に事業成果の報告書をご提出いただきました。その概要については本議会においても既に取り上げられておりますが、ここでは医療情報の連携等の実証実験について取り上げたいと思っております。この取り組みは、本市のすぐれた医療のインフラの活用を大きく向上させる、やがては全国に発信できるようなすばらしい取り組みになる可能性を持っていると考えておりますが、まずは現状について伺います。
148 【情報政策担当部長(糸将之)】 ICTしるくプロジェクトにおける医療連携の現状についてのご質問でございます。昨年度、本市では、総務省からの委託を受けて取り組んだICTしるくプロジェクトの中で、医療情報、具体的には患者さんのCTやMRIなどの検診画像を病院間で閲覧、共有する実証実験を行いました。これは、最先端の検査設備の整った中核病院等で行った精密な検診結果を検査環境のない診療所や比較的小さな規模の医療機関と情報共有するもので、患者さんにとっては精密検査は中核病院で、診療は行きつけの診療所でというように手順を分けることができ、待ち時間や重複検査による手間等の低減を目指すものでございます。また、医療機関にとってもそれぞれの施設間の検査環境を共有することで高額な検査機器を個々に導入する必要がなくなります。こうした取り組みにより地域内の医療環境の底上げを図ろうとするものでございます。医師からは、特にがんなどの長期間繰り返し検査を行う必要のある疾患において、過去の画像を閲覧するに当たり非常に便利で有効だという評価をいただいている一方、医療機関によってはそもそも検診情報自体を院外に持ち出すことを禁止しているところもあることから、現在のところまだ一部機関での取り組みにとどまっている状況でございます。
149 【18番(浅井雅彦議員)】 ただいまの答弁を伺っておりますと、非常に興味深く、有効な取り組みであるというふうに考えておりますが、まだまだ若干の壁もあるというようなことかと思います。この前橋のすぐれた医療インフラを活用していくためには欠かせないソフト面でのインフラの構築であるんだと感じております。その実効的な構築のためにも、たくさんの医療機関にもこの取り組みに加わっていただきたいと考えますが、今後の方向性について伺います。
150 【情報政策担当部長(糸将之)】 医療連携における今後の方向性についてのご質問でございます。先ほど申し上げましたとおり、医療連携において実証実験で使用したシステム自体は既に実用可能レベルにあると考えます。今後多くの市民がICTによる医療連携の恩恵を受けられるようにするためには、多くの医療機関のご協力をいただくことが鍵になるというふうに考えます。そのための取り組みとして、これまでに市医師会への呼びかけも行っており、今後実証実験の効果をさらに検証しながら、国などの動向も見きわめつつ、県や関係団体とも協力して、また市の関係部署との協議の上、段階的に推進してまいりたいと考えています。
151 【18番(浅井雅彦議員)】 最後に、要望といいますか、少し何点か述べさせていただきたいと思いますけれども、この実証実験の概要を背景にしますと、この仕組みはCT画像などをクラウドにアップロードし、診療所と病院で共有するというようなことで行われたようであります。さらに、あわせてバイタル情報の管理、データ化でありますとか、緊急時における母子健康手帳、お薬手帳、バイタル情報の利用を可能にする実験など、さまざまな角度からのアプローチがされていると感じています。私は、かねてから生命都市前橋の根幹というのはすぐれた医療インフラを活用するための情報化や医療連携の仕組みづくりをどんどん進めて、ハードに負けないソフト面の高度化を図ることによって市民が等しく必要に応じた過不足のない医療を受けられる体制ができるんだというふうに考えております。その意味でこの取り組みを支持し、可及的速やかに実現させていただきたいと思います。先ほども申し上げましたけれども、前橋保健所の適切な仕事、ICT関係の充実、こうしたものをもっともっと生命都市いきいき前橋として進めていただきたいと要望を申し上げます。
次に、花燃ゆについて伺います。ことし1月のオープン以来、県庁昭和庁舎に設置されました大河ドラマ館は先日入館者が5万人を超えたということをテレビ等で私も拝見しました。そして、来館者の状況を見ますと、今春からは特に県外からの団体利用がふえている。これは県庁庁舎前にバスが来るたびにとまっているのを見ても、ああ、そうなんだなというふうに感じております。そこで伺いますが、この団体利用のバスが大河ドラマ館に来るにしても県庁敷地内でのドラマ館の案内看板や飾り物が若干足りないという感じがして、よくわからないという感じを持っております。こうした案内表示はどうなっているのかについて伺います。また、あわせて今後ドラマの舞台が本市及び群馬県になってくればさらに団体利用のバスが増加することもうれしい悲鳴として予想されるところでありますが、こうした来館目的の観光バスへの対応を現在どのように進められているのか伺います。
152 【文化スポーツ観光部長(靜知明)】 大河ドラマ館の状況でございますが、まず県庁敷地内での案内看板につきましては、県と協議の結果、現在昭和庁舎正面前の道路に面した位置に看板を設置をしております。ご指摘のとおりドラマ館の場所がわかりにくいという声もあり、県と案内看板の増設について協議をしているところでございます。
次に、観光バスの対応につきましては、現在、観光バスでの来館者には県庁ロータリーでの乗りおりをしていただき、バスはヤマダグリーンドームのバスベイに一時的に駐車しており、現状の方法で特にトラブルや苦情などは報告されておりませんが、今後さらに観光バスが増加した場合には、ヤマダグリーンドーム西側河川敷駐車場などを利用するなどの対応を図ってまいりたいと考えております。
153 【18番(浅井雅彦議員)】 この大河ドラマ館については、群馬県を初め県内市町村との連携により、ぐんま花燃ゆプロジェクト推進協議会で設置、運営されていることは認識しておりますけれども、現在スタートして約5カ月がたちます。前橋市としますとそれなりの経費をかけて始めたものでありますけれども、そういうところも含めて現段階での評価を伺います。
154 【文化スポーツ観光部長(靜知明)】 ドラマ館に対する現在までの評価でございますが、ドラマ館の運営委託業者からは、毎日入場者数とその日の報告事項が記載された日報が提出されております。この日報には、山口県萩市、防府市と比べて前橋のドラマ館は一番よいという来館者の声や、開館以来何度も入館している方も確認しております。そうしたことからも来館者の満足度は高く、今後も自信を持ってドラマ館のPRに努めてまいりたいと考えております。
また、入場者数につきましては、開館した1月から4月までは予定した入場者より低い状況でございました。しかし、5月は1万2,000人を超える来場者となり、6月はそれを超えるペースで推移し、好転してきております。今後、夏休み期間や本市や群馬が舞台となる秋ごろにかけて入館者が増加することが見込まれております。さらには、8月1日から開館する花燃ゆ特別展を初めとして入館につながるような展示会、講演会等の関連行事を行うことにより入館者の増加につなげてまいりたいと考えております。
155 【18番(浅井雅彦議員)】 最後に、何点か要望申し上げたいと思いますが、この花燃ゆというドラマは残念ながら視聴率の点では大変苦労しているというような報道が多いですけれども、私どものドラマ館の集客については当初予定を何とかいけそうだというような答弁でありました。目玉となる観光資源を余り持たない前橋市にとってこういう経験というのは大変大事だというふうに私は思っています。その集客のこともありますけれども、今回の経験を次にどのように生かしていくかということかと思っています。
先ほどバスの話を申し上げましたけれども、実は観光バスのいわゆる乗りおりで前橋はなかなか便が悪いという話を何度か聞きます。例えば文学館を今回の大河ドラマ館のようなにぎわいにしようとすると、バスで立川町通りでおりて、そんなに長時間とめられないから、またヤマダグリーンドームに行って戻ってくるというようなことがスムーズにいかないケースもあるようです。例えば城東町立体駐車場のところにバスの駐車スペースが何台分かありますけれども、こちらも通るたびに余り整備がされていなくて、実際に使っているのかという感じがするときがあります。こういったことを今回を契機に検証していただきたいというふうにも思います。ぜひそういう点では千載一遇の機会でもありますので、対応の後のまた検証等もよろしくお願いしたいと思います。
続きまして、空き家対策について伺います。空き家に関しては、去る5月26日に空家等対策の推進に関する特別措置が施行されまして、私どもの前橋も空き家等の適正管理に関する条例を改正する議案が上程されております。今後は特別措置法と市条例の2本の柱でこの空き家対策に取り組んでいくことになりますが、これまでの空き家対策と今回どのような点が変わるのかについてまず伺います。
156 【建設部長(稲垣則行)】 空き家対策についてでございますが、本市では平成25年7月に空き家等の適正管理に関する条例を施行いたしまして、これまで空き家等の所有者に対して適正管理を行っていただくための指導を行ってきた経緯がございます。しかしながら、今までの条例では個人情報である固定資産税の課税に関する情報などについては調査をすることができずに、また空き家の敷地に立ち入ることもできないなどの制約もあったことから、調査や指導には一定の限界があったものでございます。こうした課題に対して、今回空家等対策の推進に関する法律が施行されましたことで以前より踏み込んだ調査を行うことができるようになりましたので、従来に増して適正な管理についての指導が可能になったものと考えているものです。
157 【18番(浅井雅彦議員)】 続きまして、新制度の内容と補助制度について伺いたいと思います。
本議会には前橋市空き家等の適正管理に関する条例の改正についてが上程されておりますが、空き家の補助制度としては2億円という補正予算が計上されております。その補助制度の具体的内容については既に質疑がされておりますので、ここではその中でも最も特徴的な制度である二世代近居・同居住宅支援事業の詳細な内容についてまず伺いたいと思います。
158 【建設部長(稲垣則行)】 空き家の補助制度についてでございますが、空き家等を活用した二世代近居・同居住宅支援事業の制度につきましては、親または子が住む住宅との距離でおおむね1キロメートルの範囲にある空き家について、解体し住宅を新築した場合、または空き家を改修した場合にその工事費の3分の1の範囲内で基本額の120万円を上限として補助する内容でございます。また、これに加え、市外からの転入者につきましては1人につき20万円を、中学校修了前の児童がおりましたなら1人につき10万円を、そして若年夫婦世帯でありましたなら10万円の加算措置を設けておりまして、この制度により住宅を新築する場合でありましたならば解体費用の補助と合わせて最大で300万円の補助を受けることが可能になるものでございます。
159 【18番(浅井雅彦議員)】 大変おもしろい取り組みだと考えておりますけれども、それではこの制度によって具体的にどんな効果が期待されているのかについて伺います。
160 【建設部長(稲垣則行)】 二世代近居・同居住宅支援事業についてでございますが、この補助制度につきましては全国でも珍しく、他市に先駆けてのいち早い取り組みでございまして、空き家の解消と利活用の推進を目指すことはもちろんのことでございますが、それに加えて親や子が近居、同居することによって子世代にとっては親による子育ての援助を受けやすくなり、親世代にとっては子世代が近くにいるために大きな安心感が得られることで老後の不安の解消へとつながるなど、親子相互において良好な生活環境が図られるものと考えてございます。また、一般的には転出していた子供夫婦が親元に帰ってくることが想定されますことから、子育て世帯の転入により地域コミュニティーも活性化するものと考えております。さらに転入世帯や子育て世帯、若年夫婦に対する加算措置を加えることにより市外からの転入を一層促進するとともに、若年世帯に対する住宅取得の支援にもつながることから、前橋創生の目的でもあります定住人口の増加につながるものと大いに期待しているところでございます。
161 【18番(浅井雅彦議員)】 私自身も約20年ほど前に実家から約800メートル離れたところに中古住宅を求めまして、その後改築はしましたけれども、住んでおります。その当時にこういう制度があればよかったというふうに今現在思っております。空き家解消プラスただいまお話のあった定住人口の増に大変寄与すると思いますので、積極的にPRをしていただき、進めていただきたいと思います。
続いて、それに絡まりますが、本市では本年4月に空き家利活用センターを開設し、市民からの空き家の相談業務を取り扱っております。この空き家利活用センター開設して以来、どのような相談が寄せられ、またどのような対応を行っているのか伺います。
162 【建設部長(稲垣則行)】 空き家利活用センターにつきましては、具体的な業務といたしまして空き家の所有者の方からの利活用に関する相談や、それに対するアドバイス、倒壊などの危険のある空き家についての相談をお受けしている状況でございます。特に空き家の所有者からの利活用に関する相談につきましては、所有者の希望に応じまして市職員により空き家の内部を調査させていただき、具体的に必要な補修箇所を指摘するなど、所有者の立場に立ったアドバイスを実施しているところでございます。
163 【18番(浅井雅彦議員)】 この空き家の問題というのは、防犯の観点からも結構大きな問題になっているというふうに考えております。とはいうものの、ではどこへ相談に行ったらよいのかわからないというような声も多く聞いています。今回のこの制度、補助制度の導入とただいまのお話の空き家利活用センターとの相乗効果が出てくることが一番期待されるものというふうに考えますが、この補助制度の運用に関して空き家利活用センターはどのような役割を担う予定なのか伺います。
164 【建設部長(稲垣則行)】 空き家利活用センターと補助制度に関してでございますが、本市が予定しております補助制度につきましては、あらかじめ空き家利活用センターに相談をいただいたものに限り補助金を支給させていただく予定でございまして、これは適正な補助金の支給とあわせ新たな空き家の発生防止や空き家の跡地の有効利用なども含め、総合的なアドバイスを行うためでございます。そのことにより本市では空き家利活用センターを中心に積極的な対策を推進していくものでございます。
165 【18番(浅井雅彦議員)】 とはいうものの、空き家ができる原因にはさまざまなものがあって、一長一短でなかなか解決できるものではないかもしれませんけれども、ぜひこうした取り組みを積極的にPRしていただいて、そして活用いただき実効性を高めていただきたいと思います。
続きまして、スポーツによる地域振興について伺います。最初のスポーツコミッションについては、幾多の議論がありましたので、割愛させていただきたいと思います。
東京オリンピックについて伺います。東京オリンピックの自転車競技誘致につきましては、今までさまざまに活動されているというふうに伺っておりますが、これまでの取り組み状況を伺います。
166 【文化スポーツ観光部長(靜知明)】 オリンピック自転車競技誘致につきましては、これまでに関連団体や県が開催する会議に参加するなど情報収集を行い、大会組織委員会への要望書の提出やオリンピック・パラリンピック大会推進室や国内競技団体などの関係機関への要望活動を行ってきております。また、誘致パンフレットの作成や広報媒体でのPR活動などの誘致を行ってきております。
167 【18番(浅井雅彦議員)】 続きまして、下増田サッカーグラウンドについて伺います。下増田に整備する予定のサッカーグラウンドについては、ここまでの質疑で関東でも最大規模のサッカー場になるということでありますが、もともとこの場所は新清掃工場の建設候補地の一つでもあったためか、暫定的な利用になると伺っておりますが、今後どのように位置づけていくのか伺います。
168 【文化スポーツ観光部長(靜知明)】 下増田町公共用地に整備するサッカー場の位置づけでございますが、下増田町公共用地は議員さんのご案内のとおり次期清掃工場の建設予定地の一つとされておりますので、現時点ではおおむね15年程度の暫定利用という位置づけになると考えております。このため、整備手法を工夫し、整備費の削減に努め、クラブハウスも隣接する下増田運動場の敷地内に建設する予定であります。なお、暫定利用が終了する際には下増田運動場をサッカー利用に特化するなど、さまざまな対応について検討することとなると思っております。
169 【18番(浅井雅彦議員)】 それでは、この項の最後にスポーツによるまちづくりということで何点か要望を申し上げさせていただきます。まず、スポーツコミッションについては、行政が中心になってスポーツによるまちづくりを進めることにもなかなか限界がありますので、民間を巻き込んだ団体とともにどんどん、どんどん実を上げていただきたいというふうに考えております。
そして、東京オリンピックでありますけれども、この話を聞いたときは大変大きな夢ができたというふうに感じました。結構たくさんの前橋市民の方からはオリンピックが前橋へ来るのかというような話も聞きました。残念でありますけれども、ここのところの皆さんのご発言を聞いていると、まだ決まってはいないもののなかなか厳しいというような状況であるかと思います。ぜひこれもとれたとれなかったで終わらせないで、どういうことをすればもっと前に進んだのかといったことをあわせて検討していただいて、残念ながら私どもが生きているうちにもう一回オリンピック開催というのはないでしょうけれども、ぜひこういったこともスポーツとまちづくりには欠かせない部分でもありますので、当局も含めて再検証をきちんとしていただきたいと思います。
下増田サッカーのグラウンドにつきましては、率直なところ、これだけの設備をして15年で終わってしまうのは惜しいというふうに思っています。でも、ただやはり現在の清掃工場の改修利用もこの先20年、30年ということが見越せているわけではありませんので、新清掃工場の建設候補地であったこと、そして現在も建設候補地であること、この辺をまずはきちんと解消してほしいというふうに思っています。ぜひ新清掃工場のことはまず片をつけて、その後こうしたすばらしい群馬県内に誇れる、そして関東に誇れる日本でも有数のサッカーグラウンド、関東のサッカーの中心は前橋だと言われるような設備を整備していただき、やはり前橋のような県庁所在地はそのぐらいまでやりませんと余りスポーツをやっても意味がないかというふうに思っています。ぜひ前向きなご検討をお願いしたいと思います。
最後に、地域の不審者対策について伺います。現在、前橋市では不審者事案が発生しますと、まちの安全ひろメールを利用して登録者に情報提供をしております。また、
教育委員会でもおれんじめーるを利用して児童生徒の保護者さんへ情報提供を行うなど、以前に比べて情報提供が非常に早くなっていると感じております。それに伴い、状況状況での市民の防犯意識も高まっているというふうに感じております。そこで、実際に市ではどのようにこうしたことを生かして不審者対応を行っているのか現状を伺います。
170 【総務部長(中島克人)】 現状の不審者に対する対応でございますが、防犯活動全般として地元の防犯協会と連携し、青色防犯パトロールを実施しております。これを各地区で組織されている防犯協会の分会が交代で市内のパトロールを行うものでございます。また、独自のパトロールを実施している自治会もございます。さらに、全庁的な取り組みとして、平成17年度から児童生徒の下校時間に合わせまして職員が青色防犯パトロールを実施しております。これは、市内を12の地区に分けまして、土曜、日曜、祝日、長期休業中を除きまして毎日12台の車両がパトロールをするものでございます。このほかにも危機管理室では独自に毎日1台が不審者情報や犯罪事案に合わせて市内各所をパトロールしております。市民の活動は警察の活動と異なりまして予防や注意喚起が主になりますが、これらの活動が徐々に効果を上げているものと考えております。
171 【18番(浅井雅彦議員)】 ただいまのご答弁で地域や行政が連携して防犯活動を強化していること、そのために不審者事案が大変に減ってきたというようなお話だったかと思います。
それでは、そのような中で、さらに安全、安心な前橋の実現のために具体的な今後の対策について伺います。
172 【総務部長(中島克人)】 今後の具体的な対策につきましては、防犯協会や市の職員による青色防犯パトロールを引き続き継続的に実施してまいります。昨年末に市内で発生いたしました連続殺人事件の際には、当初予定していた巡回地域を変更し、事件の発生した日吉町や三俣町周辺に複数台の青色防犯パトロールを集中的に配備しましてパトロール強化をしたものでございます。今後も市内で重大事件が発生したり、不審者事案が多発した場合には、防犯協会や地域の方々と連携して発生地区を重点的にパトロールする体制をとりたいと考えております。また、今年度の新規事業として市内の公園100カ所に防犯カメラの設置を行う予定でございます。さらに、こども安全協力の家の登録者や地元自治会の集会施設に防犯カメラをつける際には設置購入費を補助する制度も創設いたしました。今後もより一層犯罪の抑止に努めてまいりたいと考えております。
173 【18番(浅井雅彦議員)】 済みません、アーツ前橋についての質問を飛ばしてしまったような感じでありました。今気がつきました。それでは、不審者対策についてはこれで済ませていただいて、アーツ前橋について、戻らせていただき、時間内で質問をさせいただきたいと思います。
前橋市民展の開催については割愛させていただきまして、アーツ前橋の将来像について伺いたいと思います。私は、このアーツ前橋については、前橋市に市立美術館を設置する構想が始まって以来、前橋市民が誇れるような美術館になってほしいというふうに考え、会派にお願いして国立、県立、市立、民間、さまざまな美術館を視察するなど勉強してまいりました。そして、市民が行うアート活動のつながりを生み出す美術館ネットワークの中心となることや、施設の設置が最終目標ではなく、市民の創造力の発揮や次世代を担う子供たちの学びの場として成長を続け、地域に根差した新たな文化を育み、まちづくりや産業の振興についても寄与する、そんなアーツ前橋であるということで、その成長を楽しみにしてまいりました。そして、現在は何でもそこそこの器用な施設ではなく、どっしりと前橋の文化を育み、支え、そして刺激を与えられるような施設であり、多様で質の高いさまざまな活動を通じて地域でも全国的にも注目され、多くの作家がいつかはこのアーツ前橋で個展を開きたい、そんなふうに思える施設になってほしいと思っております。しかしながら、先発の多くの地方美術館は現在、ちょっと過言かもしれませんけど、単なる箱物に終わっているものもたくさん見られます。そんなことから、アーツ前橋の今後の運営に注目しているところでもあります。そこで、今年度の取り組みを踏まえ、このアーツ前橋の育て方、将来像について当局の見解を伺います。
174 【文化スポーツ観光部長(靜知明)】 アーツ前橋の将来像についてでございますが、今年度につきましては花燃ゆ特別展、前橋市民展覧会を開催することでより多くの市民の方々に対して来館のきっかけを提供できるものと考えております。展覧会の充実はもとより、地域アートプロジェクトなど館外をフィールドとする取り組みや、教育普及関連事業では子供たちや教育に携わる方をターゲットとする学校連携プログラムを進めるなど、多様なアプローチから市民の方々が芸術文化に触れる機会を提供してまいります。また、先日のアーツ前橋運営協議会では、当館で開催した展覧会が地元作家の発信力につながっているとの意見もいただいております。今後とも市民の方々とともに芸術文化にかかわるさまざまな活動を通じ、街なかに立地する市民の施設としてアーツ前橋らしさ、館の個性を磨き上げ、新たな価値の創造に努めてまいりたいと考えております。
(3番 須賀博史議員 登壇)
175 【3番(須賀博史議員)】 それでは、順次質問をさせていただきます。
まず最初に、地方創生についてお伺いいたします。内閣官房から出されているまち・ひと・しごと創生に関する政策を検討するに当たっての原則というちょっと長い見出しがある資料を読みますと、人々が安心して生活を営み、子供を産み育てられる社会環境をつくり出すことによって活力あふれた地域の創生を目指すことが急務の課題であるとうたってあります。そういった課題解決のために、本市においても県都まえばし創生本部を県内の市町村に先駆けて設置いたしました。過日有識者会議も実施され、私も傍聴させていただきましたが、各委員の皆様からは幅広い意見をいただき、今後の可能性を感じました。反面、その幅広さからうかがえるように、国の方針も市の取り組もうとしているものも解決する課題が大きいことから、何をするのか、つまり目的がわかりづらい印象を持っております。
そこで、最初に質問させていただきます。県都まえばし創生本部の目的についてお伺いいたします。
176 【政策部長(藤井由行)】 県都まえばし創生本部の設置目的でございます。国の推計によりますと、我が国の長期的人口推移は、現状の傾向が継続することを前提といたしますと、2100年には5,000万人弱まで減少すると見込まれております。本市の人口推移につきましても同様の傾向にございまして、国の地域経済分析システムを用いた最新の分析では、2040年には約28万人となり、2010年と比較いたしまして17.1%減少するものと試算されております。日本全体が抱えるこの危機的状況に対しまして、国と地方自治体が相互に連携しつつ、総力を挙げて臨むことが重要であると考えております。本市といたしましても、少子化と人口減少を克服し、将来にわたって活力ある地域を維持していくための全庁的な施策の推進を図ることを目的に県都まえばし創生本部を設置いたしまして、前橋版人口ビジョン及び総合戦略を策定することといたしました。
177 【3番(須賀博史議員)】 少子化と人口減少を克服し、将来にわたって活力ある地域を維持していくための全庁的な施策の推進を図ることを目的に県都まえばし創生本部を設置し、前橋版人口ビジョン及び総合戦略を策定するというのが目的のようです。人口ビジョンの策定に当たっては、今年度に策定すると以前答弁をいただきましたが、施策の主意からしますと人口ビジョンを策定した後、そのデータを踏まえた総合戦略を策定するのではないかというふうに考えております。そうなると、総合戦略の策定はかなりおくれるのではないかと心配していますが、人口ビジョンと総合戦略の関連性と想定スケジュールについてお伺いします。
178 【政策部長(藤井由行)】 初めに、人口ビジョンと総合戦略の関連性でございます。人口ビジョンは、2060年度までを対象期間といたしまして、本市の人口推計や人口動態を分析し、今後目指すべき将来展望を示すもので、総合戦略はこの人口ビジョンを踏まえて策定する必要がございます。
次に、策定に向けたスケジュールでございますが、7月末を目途に人口ビジョンの素案を策定し、それを踏まえて総合戦略を策定することになります。
179 【3番(須賀博史議員)】 理解をいたしました。
地方版総合戦略のための手引というのがございまして、その中には市町村の役割として住民に身近な施策を幅広く地方版総合戦略に盛り込み、実施することとあります。そこで要望ですが、人口ビジョンの分析の際、町、何々町何丁目の単位で分析し、計画を策定していただきたい。つまり先ほど言ったように何々町何丁目では老人は何人で、子供が何人、1軒当たりの土地の広さ、建物の広さ、古さ、税収などデータ分析はなるべく小さな単位で分析し、施策を実施したほうが効果的だと思っております。ご検討をお願いいたします。
続いて、総合戦略の目的をお聞きします。最初の答弁で県都まえばし創生本部の設置目的はわかりました。では、総合戦略を策定する目的についてお伺いいたします。
180 【政策部長(藤井由行)】 前橋版総合戦略の策定目的でございます。前橋版総合戦略は、本市みずからが人口、産業、観光等に対する客観的な分析を行いまして、人口減少に歯どめをかける前橋市独自の処方箋となるような事業プランを示すことを目的としております。具体的には、国の総合戦略に沿った仕事、転入転出、結婚・出産・子育て、都市づくりという4つの柱を中心にいたしまして、選択と集中の観点に立った実行力のある総合戦略づくりを目指してまいりたいと考えております。
181 【3番(須賀博史議員)】 エネルギーの下川町、アートの直島、ITの神山町、葉っぱビジネスの上勝町、教育の海士町、どこも地域の独創性を発揮して地方創生の成功事例として有名な自治体です。その成功を僻地だからできた、規模が小さいからできた、あの人がいたからできたという表層的な見方でなく、この成功はどれだけの人たちがどれだけの思いと考えを持って、どれだけ本気で努力したのだからできたという視点で検証していただきたいと思っております。成功事例からしっかりよいところを学び、施策の実現をお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
続いて、教育行政についてお伺いいたします。市内各地で地域づくり協議会などを行い、まちづくりを住民が主体的に行う事業を実施しています。その多くの事業が3世代交流を目的としておりますが、昔ながらのまちのあり方であった地域の子供は地域が育てる、つまり地域の大人が直接子供とかかわり、そうする中で子供たちは地域のよさや地域とつながりを感じ、故郷を実感するのではないでしょうか。それが人口流出解消への鍵になると私は思っております。そこで、地域の教育力の活力について、
教育委員会の考え方と取り組みについてお伺いいたします。
182 【
指導担当次長(塩崎政江)】 少子化が進む人口減少社会において、地域住民と学校との連携を深め、地域全体で子供を育てることは学校教育の充実のためには不可欠であり、さらに地域づくりにもつながると考えております。各学校では、地域人材や施設など地域の教育資源に関する情報を集め、地域人材を活用することで効果の上がる内容を選定し、積極的に教育活動に取り入れております。そのため、地域の教育力を活用し、学校の教育活動を充実させるための学校支援センターの運営に努めているところでございます。また、
教育委員会といたしましても各学校が地域社会と協働し、子ども会育成会の活動や各地域におけるのびゆくこどものつどいの実施など、学校内外での子供たちが多くの大人と接する具体的な場面を捉え、その充実と新たな仕組みづくりの推進について情報提供及び指導、助言を行っているところでございます。
183 【3番(須賀博史議員)】 現段階においては、学校支援センターの運営、各学校が地域社会との協働、その充実と新たな仕組みづくりを推進しているというご答弁でした。やはり学校を離れた活動の場として地域の大人同士が子供を軸として積極的にかかわることのできる仕組みづくりが必要だと考えております。特に放課後や土曜日、日曜日の学習や体験の場を保障していくことが可能となれば、地方創生とともに貧困家庭への支援となり、前橋の学力向上につながることが期待できます。そこで、子供たちが地域の方々とかかわりながらさまざまな学習や体験をする機会ができるよう、どのようにして支援していくのかお伺いします。
184 【
指導担当次長(塩崎政江)】 放課後や土曜日、日曜日などに子供たちが地域でさまざまな学習や体験をすることは、子供たちの生活実態を考えますと非常に重要なことと考えております。今後は、子供たちの身近にある公民館等の施設を利用した学習活動の支援や各地域の自然や文化の特徴を生かした体験活動の実施などについて具体的に検討してまいりたいと考えております。
教育委員会といたしましては、これからも地域づくりの核となる学校という考え方も含め、地域社会とともに子供たちを育てていくという観点から、地域の大人たちが積極的に子供の教育活動に関心を持ち、協働できる仕組みをつくっていけるよう努めてまいりたいと思っております。
185 【3番(須賀博史議員)】 先ほど地方創生の先進事例ということで申し上げました海士町は、この取り組みの先進事例でありまして、都市部と教育格差を解消し、地域の子供たちの自己実現を地域総がかりで支援する。生徒にとって適切な進路実現の支援を目標とし、基礎学力に加えて社会人基礎力の養成を図る。地域で子供を育てると大学に不利。都会と地域の教育格差は広がる一方である。高校卒業までは地域の子供は地域で育てるという信念を実現するという理念を持って臨んで成果を上げているようです。ご答弁いただいたように、地域の大人たちが積極的に子供の教育活動に関心を持ち、協働できる仕組みというのは非常に有用だと思う反面、実現にはしっかりとした目標、大きな決断と人と労力が必要であると考えております。そこで、このような問題への教育長の所見をお伺いいたします。
186 【教育長(佐藤博之)】 少し新しい取り組みについて
指導担当次長から話がありましたが、考え方を少し話したいと思っています。
子供たちは、小さいころから親に大切にされ、地域の方から大事にされて、初めて自分を大切にする、自分を粗末にしてはいけないという自尊心や自分が生きていてよかったという気持ち、自己肯定感を持てるようになります。それらはやがて人とかかわりたいという気持ち、社会性の基礎として子供たちの心に根づいていくんだと私たちは思っています。
教育委員会では、こうした豊かな親と子、子供と地域との活動の活性化のため、先ほど
指導担当次長が申し上げたような新しい取り組みを幾つか企画を進めています。地域の協力をいただきながら、ぜひ進めていきたいと思っています。お話のように、こうした取り組みはそう簡単なことではありませんが、未来の社会において多文化共生、人と人とのつながりを基盤とする社会を生きていく子供たちにとっては、周囲の人間と多様なつながりを感じ、体験する機会は非常に大切であると思います。そのために各地域の人たちのそれぞれの地域の実態に応じた知恵や意思決定、そして労力も必要です。時間もかかると思いますが、そうした活動がまた地域の大きな活性化につながると私たちは思っています。こうした時代における社会教育の基本を私たちは粛々と進めることが
教育委員会の覚悟でもあるというふうに考えています。
187 【3番(須賀博史議員)】 この取り組みというのは地方創生にわたったり、教育にわたったりということで、非常に大切な取り組みになるかと思います。教育長も先ほどおっしゃったとおり、時間や人、非常に労力がかかると思いますが、対応をよろしくお願いしたいと思っております。
続きまして、小中学校の適正化についてお伺いします。小中学校の適正化については、以前質問させていただきました。その後、文科省の方針で平成27年1月に公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引を策定し、60年ぶりに小中学校の適正規模、適正配置の基準の見直しを行ったと聞いております。そこで、策定された手引の主な変更点についてお伺いいたします。
188 【
指導担当次長(塩崎政江)】 ご質問いただいたとおり、文部科学省では平成27年1月に公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引を策定し、60年ぶりの基準の見直しを行いました。その主な変更点としては、これまで学校規模について、12学級から18学級を標準とするとしていたことに加え、小学校で6学級以下、中学校で3学級以下の学校については速やかに統廃合の適否を検討する必要があるとしたこと、また通学距離について、小学校で4キロメートル以内、中学校で6キロメートル以内という基準は引き続き妥当としつつも、スクールバスの導入などで交通手段が確保できる場合には、おおむね1時間以内という目安を加えたことにあります。学級数が基準を大幅に下回る規模の学校への早急な対応や、より遠方の学校との統合ができるようにしたことが文部科学省が策定した新しい手引の主な変更点であります。
189 【3番(須賀博史議員)】 ご答弁にありました変更の主なところを見ますと、スクールバスで1時間程度となると、前橋ではほぼ市域をカバーすることになります。また、対象となる学級規模も変更となりました。こういった変更に伴い、
市教育委員会としては、この適正規模、適正配置について今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
190 【
指導担当次長(塩崎政江)】 これまで前橋
市教育委員会では平成20年8月に策定した前橋市立小中学校の適正規模・適正配置基本方針をもとに学校規模の適正化に取り組んでまいりました。また、小中学校は児童生徒の教育のための施設であることはもちろん、先ほどお話をさせていただきましたように、それぞれの地域のコミュニティーの核としてまちづくりのあり方とも綿密にかかわるものであることから、これまでも該当する地域で丁寧に協議を進めてきております。
教育委員会としましては、新たに策定された国の手引を参考にしながらも、これまでの進め方と同様に保護者や地域の方々の声を十分にお聞きし、地域の状況をしっかり把握した上で、対応の必要な学校につきましては適正規模化に向けた取り組みを行ってまいりたいと考えております。
191 【3番(須賀博史議員)】 ご答弁にありました。それぞれの地域のコミュニティーの核として、まちづくりのあり方としても密接にかかわるということでした。人口減少の最もリアリティーのある現象というのが自分の生まれた地域、あるいは自分が今住んでいる地域の学校がなくなるというものではないかと思っております。まちづくりに非常に密接な問題であります適正化の対象となるならないではなく、現状認識という意味でも各地で行われておりますタウンミーティング等を通じまして現状報告をしたらと思っておりますが、ご検討いただきたいと思っております。よろしくお願いします。
続いて、臨江閣の整備についてお伺いいたします。NHK大河ドラマ花燃ゆの放映期間とぶつかるということで臨江閣の改修工事を先送りしました。大河効果の取り組みを図るために臨江閣の改修工事を1年先送りしましたが、実施設計が終わっていると伺っております。現在の進捗状況等についてお伺いいたします。
192 【教育次長(関谷仁)】 臨江閣の整備事業につきましては、現在、おっしゃるとおり実施設計まで終了しております。市指定重要文化財の保存整備のための設計ですので、古材や旧来の仕様を多く後世に伝えることを重要な方針として行われた実施設計でございます。
ご質問の工事につきましては、当初計画では平成27年1月開始予定でございましたが、花燃ゆ放送決定に伴い1年工期を延長したため、花燃ゆ放送終了後の平成28年2月より工事を進めたいと考えております。施工業者につきましては、提案内容や見積金額等を比較検討する公募型プロポーザル方式を採用しまして、10月ごろに業者を選定していきたいと考えております。
193 【3番(須賀博史議員)】 平成25年第1回の総括質問で、工事発注に当たり、日本固有の技法や技術でつくられた建物の修理事業は伝統的に蓄積され、継承されなければならないとの認識の上で、伝統技術の継承を図る意味でも、業者に限らず業界団体への発注も視野に入れた設計及び施工発注のご検討をお願いしたいという要望をさせていただきました。そこで、今後の取り組みについてお伺いいたします。
194 【教育次長(関谷仁)】 臨江閣の工事につきましては、伝統技能の継承と中小業者の保護という観点から、提案内容を評価しながら行いますプロポーザルにより業者を選定していくことを考えております。プロポーザルの実施に際しましては、整備終了後の臨江閣の維持管理を考えて地元業者の育成及び活用についての提案を審査のポイントの一つに位置づける予定でございます。あわせまして、臨江閣という本市の貴重な財産の文化財としての価値を市民の皆さんと共有するため、修復工事の期間中、市民の皆さんに工事現場を公開することについても具体的な提案をいただき、それらを比較検討し、施工業者を決定していきたいと考えております。また、修復工事中に技術者などを対象といたしました日本の伝統的工法等のワークショップなどを開催しまして、技能の継承を図っていきたいと考えております。
195 【3番(須賀博史議員)】 重ねてになりますが、狙いは市内事業者への工法の継承です。市内業者に工事協力をお願いするような実施設計に明記するような手法がありましたら、そちらの手法を要望させていただきます。
続いて、校庭の安全性についてお伺いいたします。愛媛県において小学校の校庭から蹴り出されたボールが校庭を飛び出して、そのボールがバイクに当たり、その運転者がけがをしたという痛ましい事故が発生いたしました。学校施設においては、児童や生徒が校庭を利用していろんな球技活動を行っておりますが、本市では校庭を利用している球技活動において、校庭外へ飛び出さないようにどのような対策をしているのかお伺いいたします。
196 【教育次長(関谷仁)】 校庭の安全性のご質問でございます。本市には小中高合わせて70校を超える本市所管の学校があり、各学校の授業や部活動において活発に球技が行われております。そのため、周辺の道路や住宅等に配慮し、大きなものから小さなものまでさまざまなボールに対応したフェンスや防球ネットを各学校に設置して校庭外へのボールの飛び出しを防止しております。また、校舎や体育館の改築に伴い校庭の形状が変わる場合には、改築工事にあわせまして校庭整備も行い、フェンスや防球ネットの移設、増設等を行い、ご質問にあったような事例が発生しないよう適切な学校施設の管理に努めておるところでございます。
197 【3番(須賀博史議員)】 同趣旨ですが、市内の小中学校で校庭の使用に当たり、安全確保に向けた指導についてはどのように行っているのかお伺いいたします。
198 【
指導担当次長(塩崎政江)】 児童生徒が校庭を使用する際の安全指導についてですが、小学校では高学年と低学年の児童では運動量も異なります。校庭内でも児童同士の事故が起こらないように学年ごとに遊ぶ場所を指定したり、ボールを使った遊びの場所を設定したりするなど、いろいろな遊びを安全に、しかし活発に楽しめるようにしております。中学校の校庭でボールなどを扱う授業や部活動につきましては、校外へボール等が出ないようにするなど、練習の仕方についても指導しております。なお、部活動につきましては、毎年年度当初に群馬県中学校体育連盟作成の中体連申し合わせ事項をもとに指導者に対して生徒の安全に対する意識を高めております。また、施設設備の安全確認にも心がけ、活動中の事故防止に努めております。
教育委員会といたしましては、今後も学校と連携して児童生徒がみずから状況を判断し、危険を予測し、回避する能力を育成できるよう努めてまいりたいと考えております。
199 【3番(須賀博史議員)】 また、子供たちというのは校庭だけではなく公園でも遊ぶと思います。同様の観点で公園の安全管理について考え方をお伺いいたします。
200 【建設部長(稲垣則行)】 公園の安全管理についてでございますが、市内の公園には多目的として利用可能なスペースがあり、また球技のできる設備が設置されている公園などもありますことから、安全管理のために防球ネットなどを設置することは必要なことと考えています。また、現在も防球ネットやフェンスの設置を進めてはおりますが、今後も利用状況及び安全確保等を考慮しながら設置についての検討を行ってまいりたいと考えています。
201 【3番(須賀博史議員)】 事故が起きると禁止となるケースが多く、思いっきり遊ぶ子供たちがいなくなることを危惧しております。利用の制限がないように、子供たちの遊ぶ、学ぶ行為を阻害しないよう善処をよろしくお願いしたいと思います。
続いて、敷島公園についてお伺いいたします。日本には四季があり、火山や地震など災害、四方を海に囲まれてそれぞれの地域ごとに人と自然が繊細にかかわり合っている特有の文化、歴史があります。現在においては、公園は全国一律の数値、整備手法で管理されています。しかし、公園の中には地域に根差し、愛され、その結果公園自体がその都市、まち自体の魅力となっているものもあります。前橋においては、その緑の象徴というのは敷島公園に当たるのではないでしょうか。しかし、現実には公園でのばら園まつりなどイベントや隣接する運動施設でのプロスポーツ大会など、あるいは運動大会などで多くの来園者を見かけるものの、公園としてのかつてのにぎわいは余りないように感じられます。加えて、昨年の大雪で松林に大きな被害を受け、数を減らしております。また、ボート乗り場の老朽化施設も数多くあり、このような状況を踏まえると、この立地に恵まれた敷島公園をさらに多くの市民に訪れていただきたい、そんな取り組みも必要であると考えております。そこで、今後どのような方向でこの敷島公園の管理を進めていくのかお伺いいたします。
202 【建設部長(稲垣則行)】 敷島公園の管理の方向性についてでございますが、基本としては利用者の安全を考慮した現有施設の保全、更新を行ってまいりたいと考えています。そこで、松林につきましては定期的な樹木調査や松くい虫対策として樹幹注入をするなど保全に努めておりまして、自治会や各種団体などの事業として種から松の苗木を育てて植樹していただくなどのご協力のもと、公園内の補植などにも利用させていただいている状況でございます。また、老朽化した施設につきましては、一昨年に木製遊具を更新して、ばら園内の傷んだ園路の舗装も計画的に再整備を行っているところでありますので、今後につきましても老朽化が顕著な各施設については必要により修繕を行い、また各施設の見直しや部分的改修につきましては、多様化するニーズにおきますさまざまなご意見に耳を傾けまして、現場の状況などを考慮した柔軟な対応を図りながら計画的な施設更新を進めてまいりたいと考えています。
203 【3番(須賀博史議員)】 続いて、その中にありますばら園についてお聞きいたします。
ばら園内の萩原朔太郎記念館の移転に向けた取り組みというのが現在検討されておりますが、この施設が移転となれば跡地の利用というのが上がってくると思います。市民にとって非常に関心が高いものになると思いますが、周辺住民からはバラだけでなくさまざまな季節の花や何かを植栽することで一年中ばら園を楽しむ方がふえるのではないかという声も聞こえてきます。そこで、移転が決定した際の跡地の利用方法を含めた園内の整備についてお伺いいたします。
204 【建設部長(稲垣則行)】 朔太郎記念館の移転による跡地の整備についてでございますが、現在の敷島公園ばら園につきましては、平成20年に改正された全国都市緑化ぐんまフェアの総合会場としてリニューアルオープンを行いまして、バラのほかに梅やボタン、アジサイなどが植えられており、またイングリッシュガーデンのゾーンには宿根草を主としてクレマチスやカスミソウなども植えられておりますことから、通年の来園者を期待しているところでございます。また、記念館移転による跡地の整備につきましては、移転の進捗状況を注視しまして、市民のご意見を聞きながら植栽内容等を研究して、魅力あるばら園づくりに努めてまいりたいと考えています。
205 【3番(須賀博史議員)】 市民の意見を聞きながら魅力あるばら園づくりを進めたいというお考えですので、ぜひアンケートなどで声を聞くところから始めていただきたいと思っております。
また、答弁の中にもありましたが、朔太郎生家の移築を検討していると。では、残されたばら園の計画はどうなっているのでしょうか。ばら園内の施設を移動する、そもそもばら園内のあり方を検討するのではなく、施設がなくなったから跡地をどうしようというこの対応にちょっと疑問を感じております。市民にとっては、ばら園も朔太郎の生家も両方大事であるというふうに思っておりますが、思えば思うほどそのばら園への対応にはちょっと疑問が残ります。ぜひ敷島公園ばら園の総体的な検討をお願いしたいと思います。そこで、その手法として設計コンペなども有用だと考えますが、その所見を伺います。
206 【建設部長(稲垣則行)】 敷島公園ばら園のあり方についてでございますが、朔太郎の生家はその有効活用を図ることを目的に移築を検討されておりますが、ばら園につきましては600種約7,000株のバラを有する特有の施設でありまして、敷島公園につきましても約2,700本もの松林が茂る緑豊かな市民に愛されている重要な財産でございます。また、ばら園につきましては、先ほど申し上げましたが、平成20年の全国都市緑化ぐんまフェアの際に大幅なリニューアルを行った経緯もありまして、当面改修等の予定もありませんことから、朔太郎記念館移築後のあり方につきましても、敷島公園ばら園の特性を生かした魅力ある公園として多くの皆様に愛されますよう、植栽内容や景観の向上に努めてまいりたいと考えています。
207 【3番(須賀博史議員)】 続いて、敷島浄水場の配水塔についてお伺いをいたします。前橋で最も古くから稼働している敷島浄水場ですが、さまざまな賞をいただき、歴史的にも非常に価値のあるものだと理解しております。しかし、配水塔は鋼鉄製の高架水槽のため老朽化が非常に懸念をされておりますが、現在の維持管理はどのように行っているのかお伺いいたします。
208 【上下水道部長(内田浩一)】 配水塔の現在の維持管理の状況についてでございますが、配水塔は昭和4年の給水開始当時から使用しているため、タンク内部の腐食が目立っておりましたことから、防食塗装を実施いたしました。また、耐震診断では震度5弱までの耐震性を確認し、平成21年度にはタンクの劣化状況も確認しておりますが、前橋市地域防災計画の想定震度6弱を考えますと早急な耐震対策が必要であると考えております。
209 【3番(須賀博史議員)】 耐震対策が早急に必要であるとのご答弁ですが、今後の整備方針についてお伺いいたします。
210 【上下水道部長(内田浩一)】 配水塔の今後の方針についてでございますが、本年度に予定しております浄水場施設関連設計業務におきまして敷島浄水場全体の更新基本設計を策定いたします。計画の内容でございますが、老朽化した施設の統廃合や整備方針、水運用の基本方針、施設レイアウトを計画するものであります。その中で配水塔につきましても耐震対策を施し、今後も使用していくのか、また対策が難しい場合には前橋市の水道のシンボルとして保存していくのか、多くの皆様からご意見を伺いながら方向性を定めてまいりたいと考えております。
211 【3番(須賀博史議員)】 敷島浄水場というのは、地元の岩神小学校においては写生大会で子供たちは訪れて、美術観などを養っている大切な場でもあります。また、私自身子供からタンク君という名前を教えてもらった次第でありまして、子供たちの中でも敷島イコール浄水場というのは非常に定着しているものだというふうに考えております。今年度策定される基本計画の中においては、今後も配水塔が使用できるのかできないのか、その辺をご判断いただき、改修の場合には景観を損なわないような仕様になること、あるいは使用が難しい場合にはシンボル的な存在として保存していただくことをご検討いただくよう要望させていただきます。よろしくお願いいたします。
続きまして、交通政策についてお伺いいたします。かつて群馬にも前橋、高崎、渋川、伊香保を結ぶ路面電車が走っておりました。そんな昔の思いを再現させるかのごとく、本年2月10日に元気プラザ21で地域公共交通の再生とまちづくりという講演で宇都宮教授が講演をされました。LRTが人の動きを変え、中心街を活性化させている例は国内外にあるというふうに強調されたり、そのリスクやその有用性も訴えておりました。そんな中、過日本市のLRT構想が新聞報道されましたが、この事業構想について見解をお伺いいたします。
212 【政策部長(藤井由行)】 本市のLRT構想についてでございます。人口減少や高齢化が進展する中におきまして、既存の鉄道、路線バスの利便性向上やタクシーの利活用のほか、新たな交通システムとしてLRTの導入検討も含めて、まちづくりと一体となった持続可能な地域公共交通ネットワークの再構築を図る必要があると考えております。このため、平成27、28年度に地域公共交通活性化再生法に基づきまして、交通事業者や警察、道路管理者、国、県、市等の関係者による法定協議会を設置いたしまして、地域公共交通網形成計画を策定する予定でございます。この計画を策定するに当たりましては、コンパクトシティに向けた都市政策と公共交通のネットワークの形成について検討していくことになりますが、この検討の中で本市のまちづくりにとってLRTの導入は必要であると判断された場合には、導入ルート、運行方式、整備スケジュールの検討、関係事業者との調整、需要予測等をこの計画に位置づけることになります。いずれにいたしましても、LRTの導入につきましては、市民はもちろんのこと、交通事業者や国、県等の関係機関の協力が必要となりますので、十分な合意形成を図っていくことが重要になると考えております。
213 【3番(須賀博史議員)】 LRTの導入は今後の地域公共交通網形成計画の中で策定をしていくとのご答弁でした。一方で、交通政策の中においては前橋駅北口にパークアンドライド駐車場の整備を既に進めております。これらの施設は個別に実施するものでなく、本市の都市政策の方向性を踏まえて総合的に実施する必要があると考えますが、お考えをお伺いいたします。
214 【政策部長(藤井由行)】 現在行っております前橋駅北口パークアンドライド駐車場の整備につきましては、駅の利用者が減少傾向にある中で駅の利便性向上を要望する市民の声に応えるほか、車から鉄道等への利用転換を促すとともに、駅周辺の活性化はもとより、本市の都市機能の再更新等を踏まえて整備を行っているものでございます。今後、JR両毛線、上越線や地域鉄道でございます上毛電鉄の利便性向上など、地域公共交通ネットワークの再構築に必要となるパークアンドライド駐車場の整備につきましても先ほど申し上げました地域公共交通網形成計画の策定の中で検討していきたいと考えております。
215 【3番(須賀博史議員)】 地域公共交通網作成計画の手引を読みますと、当該地域の住民の通勤、通学、買い物、通院といった日常生活に関して形成される交通網を基本とし、個別局所的にならないよう留意との記載もあります。質問させていただいたとおり、総合的な計画の上、進めていただきたいと考えます。よろしくお願いいたします。
続いて、防災についてお伺いいたします。最初は浅間山等の噴火レベルの見直しの影響についてお伺いいたします。全国的には、火山被害では昨年度御嶽山で大きな被害がありました。その後、箱根山の警戒レベルの引き上げ、口永良部島の全島避難など、全国的には活発な活動が見受けられます。草津白根山及び浅間山の噴火レベルが1から2へ引き上げられましたが、万が一噴火の規模が拡大した場合、本市への影響についてお伺いいたします。
216 【総務部長(中島克人)】 一般的な噴火警戒レベルは5段階に設定しておりますが、草津白根山や浅間山の警戒レベルは下から2番目の段階で、現時点で本市に大きな影響はございませんが、まちの安全ツイッターなどで市民に情報提供しているところでございます。先日の噴火では本市には影響はございませんでしたが、過去には噴火による降灰の経緯もありました。また、噴火の規模を拡大した場合、その規模にもよりますが、降灰等による市民生活の影響が考えられますので、引き続きその状況を注視するとともに、対応の検討は必要と認識しております。いずれにいたしましても、現時点では安全面等に心配はございませんので、箱根町の対応にもございますが、市民や県外から群馬県を訪れる方々に必要以上に不安を与えることがないよう留意しながら、関係機関とともに的確な情報を発信していくことが重要であると考えております。
217 【3番(須賀博史議員)】 安全であるということを聞いて非常に安心しました。前橋市にも大きな被害があるのではと感じている人もいるのではないでしょうか。ご答弁を聞き安心いたしました。しかし、農業への影響は懸念されているようですので、担当部局の対応、ご検討をよろしくお願いしたいと思っております。
次に、地震に対する防災についてお伺いいたします。5月25日に埼玉県北部を震源とする地震、5月30日は茨城県南部、小笠原諸島方面を震源とする地震がありました。本市でも災害メールなどによって大きな地震の報告がありましたが、こういった最近多発していると感じられる地震を受けて、市内部の対応及び市民に対する対応をお伺いいたします。
218 【総務部長(中島克人)】 5月25日の埼玉県北部を震源とする地震では、本市で震度4を観測されましたので、災害警戒本部を設置しまして情報収集を行いました。幸いに被害はございませんでしたので、同日17時に災害警戒本部を解除しております。また、昨年9月16日の茨城県南部地震後にJアラートと防災行政無線及び防災ラジオを連動させる設定を見直しましたが、大きな問題はなく作動したことを確認したところでございます。
市民対応でございますが、地震が続いたことを受けまして、迅速かつ柔軟に市民啓発、注意喚起をすることは大変重要かつ効果的なタイミングであると考えております。このため、まちの安全ツイッターやまちの安全ひろメールにおきまして、震度情報に加え、非常用持ち出し袋や家具の転倒防止などの家庭での確認を改めて呼びかけたところでございます。
219 【3番(須賀博史議員)】 正確かつ適正な情報の発信とリアリティーあるこの機会に、発災前後の取り組みを意識して以前もお願いしたいと言った事前防災の意識づけをぜひお願いしたいと思っております。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
220 ◎ 休 憩
【副議長(阿部忠幸議員)】 この際、暫時休憩いたします。
(午後2時38分)
◎ 再 開
(午後3時8分)
221 【議長(真下三起也議員)】 休憩前に引き続き会議を開きます。
総括質問を続けます。
(7番 近藤好枝議員 登壇)
222 【7番(近藤好枝議員)】 私の最初の質問は、小学校の統廃合計画の問題点についてです。
桃井小学校と中央小学校の統廃合議案が上程されていますが、私たちは教育的観点からも、子供のよりよい環境を守るという観点からも統廃合はやめるべきと考えています。そこで、以下順次質問いたします。
桃井小学校と中央小学校の統廃合を検討する地区委員会では、中央小学校保護者の中から小さい規模のままの小学校で残してほしいという切実な意見と、この機会に統合しようという意見が出され、議論は平行線であった。しかし、同じ学校の中で2つの意見の対立は子供たちのためにならない。対立はやめましょうと苦渋の選択をして合意の方向に至った。ここに行く過程には保護者や地域でのさまざまな葛藤があったとお聞きしています。市教委は、こうした中、小規模校のデメリットを殊さら強調し、統合するメリットを前面にして、しかも学校の建てかえによる新設の小学校建設、地域コミュニティセンターの設置を盛り込んだ施設整備という新たな学校の魅力を強調したのです。このように、中央小学校と桃井小学校の統廃合の話し合いは地域の合意と言うけれど、市教委が統廃合の推進を提案しなければ全く問題はなく、今までどおりそれぞれの学校に通うことができたと考えますが、いかがでしょうか。
223 【
指導担当次長(塩崎政江)】 桃井小学校と中央小学校の適正規模化につきましては、これまでも何度も説明をさせていただきましたが、平成20年に前橋市立小中学校の適正規模・適正配置基本方針を策定しましたときに
教育委員会から保護者や地域の方々に説明をさせていただきました。その結果、その時点では児童数の推移をしばらく見ていくことになりました。その後、平成24年度に桃井小学校の新校舎建設が決まり、これを機に両校の子供たちにとってのよりよい教育環境について考える機会となるよう、改めて平成25年度に
教育委員会から保護者や地域の方々に両校の現状や今後の児童数等について説明をさせていただきました。その結果、平成26年2月にそれぞれの学校区で地区委員会が立ち上がり、統合について協議が始まりました。両校を統合して新しい学校をつくるとの結論は、地区委員の方々が保護者や地域の方々の声を聞きながら、10年後、20年後の未来の子供たちや地域のことを考え、慎重に協議を重ねて導き出した結論であると私どもは理解しております。
224 【7番(近藤好枝議員)】 今の答弁ですと、やはり市教委が誘導したことは明らかだというふうに思います。今でも存続してほしかったという保護者や地域の方は複雑な思いをお持ちだと思います。本当に深刻な問題だと私は受けとめております。
そこで、小規模校の評価についてお伺いいたします。統廃合計画のデメリットとして殊さら強調している問題について伺います。その一つは切磋琢磨論です。私は、競争を求めるのは大人の考えだと思います。子供は、兄弟であればお兄ちゃんのようになりたい、負けたくない、または走るのが速ければ自分もそうなりたいと望んで頑張ろうということになります。小学校低学年であればあるほど小さい集団の中でお互いを見詰め、自分と他人の能力の違いを意識して、お兄ちゃんのようになりたいとか、友達のようになりたいとか、自然に芽生えた競争心によって能動的に行動するのではないでしょうか。大勢の集団の中に子供たちを置けば競争して成長すると考えるのは教育的な考え方ではありません。切磋琢磨や相互啓発として持ち込まれるのは、往々にして大人社会からの競争です。それは過度の競争主義しかもたらしません。子供たちにとっては負担になり、かえって疎外感や無気力感を生み出すことにもなりかねません。国連子どもの権利委員会では、日本政府に対してこれまで3回にわたって、過度に競争主義的な環境による否定的な結果を避けることを目的として、学校制度及び学力に関する仕組みを再検討することなどを勧告しています。切磋琢磨論もまさに国連の勧告に反する考えではないでしょうか。その2つは、人間関係が固定化されるというものですが、これはそもそも子供たちにとってデメリットではありません。むしろ安定した継続的な人間関係は子供たちにとって必要です。学校や家庭、地域、社会で親密で安定した異年齢の人間関係が必要です。そのような固定した人間の中でこそ子供たちは自分が常に周りから気にかけてもらっていること、大切にされていることが実感できます。また、その集団や人間関係の中で自分の役割や自分がどのような言動をとれば周りにどのような影響を与えるのか、こういったことを学びます。そうして自己肯定感や社会性が育つものなのです。このように、小規模校の教育的価値は明確であり、
教育委員会のデメリットという認識を改めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
225 【
指導担当次長(塩崎政江)】 過度な競争意識につながるものではないかというご心配だと思いますが、
教育委員会といたしましても教育の現場に過度な競争意識を持ち込むことは問題であると認識しております。しかし、子供たちにとっては、教師から直接教わるだけではなく、たくさんの仲間のさまざまな考えや発想、すぐれたパフォーマンスなどから刺激を受け、友達同士で学び合うこと、つまり適度に切磋琢磨し合うことは一人一人の子供たちの社会性の向上、そしてこれからの多文化共生社会に必要な人と人とがつながる力、つなげる力を培うなど、生きていく上で重要なことであり、学校の活性化には不可欠なことと考えております。また、確かに少人数であることで安定した仲間になる可能性もありますが、学年1クラスでは6年間一度もクラスがえを経験することなく、固定化された人間関係の中で中学校へ進学することになります。このことは、社会性の育成や多様な人間関係の中での成長、自分とは異なるさまざまな人と接することで学ぶという点から考えますと、必ずしもよい環境とは言えないと考えております。
教育委員会としましては、将来子供たちが社会の中でさまざまな人と共同しながら自己実現できる力を身につけるには適正な集団規模の中で仲間と触れ合いながら学び合える環境が必要だと考えております。
226 【7番(近藤好枝議員)】 今答弁ありましたけれども、世界では認識が全く違うんです。小学校はそもそも小規模校のよさが前面に評価されなければならない、私はそこをまず確認したいと思います。そして、小規模だからこそ一人一人の子供に目が行き届き、学力の向上にも貢献できているんです。世界的にも少人数教育は当たり前の流れなんです。WHO世界保健機関は、学校規模と教育効果について研究し、結論を出しています。それは、一つの学校で100人を上回らない規模、つまり小学校であれば1学年16人以下と考えられますが、このように教育効果を結論づけております。日本では小学校で各学年1クラス30人以下学級でも規模が大き過ぎるということになり、桃井小学校、そして中央小学校はむしろ規模が大きいというふうに捉えることができます。適正規模と言われる12学級から18学級では大規模校になり、さらに世界の教育に逆行している、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。
227 【
指導担当次長(塩崎政江)】 子供たちが少人数の中で十分に学習できる環境を保障するということはとても大事なことであると考えます。そのために前橋市においても学校規模の大小にかかわらず県費の特配教員や市費のマイタウンティーチャーなどを活用して全ての学校で少人数によるきめ細かな指導が行われており、一人一人に行き届いた教育は実践されていると思っています。しかし、同様にチーム競技などにおけるスポーツ活動、あるいはさまざまな楽器を駆使したマーチングドリルなど、大きな集団の中でダイナミックに活動する体験も子供たちには必要であると考えております。したがいまして、やはり小学校においては、前橋市立小中学校の適正規模・適正配置基本方針にありますように、多様な人間関係を築くためのクラスがえが可能であるとともに、学習内容に応じてさまざまな学習形態が可能となる全校で12学級から18学級程度の規模が適正であると考えております。
228 【7番(近藤好枝議員)】 そういうお話ですけれども、実際に12学級から18学級が適正規模だという教育学的根拠はありません。文科省も学問的あるいは科学的な見地からこれが最適であるとは言えない、こう述べているのをご存じだと思いますが、ぜひこの点も認識していただきたいと思います。
次に、計画の撤回ですけれども、現在本市では前橋市市街地総合再生計画や市役所周辺整備の検討が行われています。このまちづくり施策の検討方針は中央小学校と桃井小学校区に該当し、今後子供人口の増加の可能性が広がるもので、
教育委員会が示した子供の人口推計に影響を与える可能性があります。既に市役所周辺マンション建設によって一部の地域では子供がふえているとのことです。このように、将来の周辺環境の変化を見通してみれば、統廃合を急ぐことはない、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。
229 【
指導担当次長(塩崎政江)】 地域とのつながりは、学校の教育活動の充実を図るためにもとても大切なことであり、教育委員会としましてもまちづくりは本市の重要な課題であると認識しております。しかし、現段階においては、市全体としては子供の数は減少傾向にあります。地域によっては児童生徒数がかなり少なくなることも予想されております。この桃井、中央地区におきましても市街地総合再生計画や市庁舎周辺整備等の計画が進められることになっておりますが、統計的にも近い将来の児童数増加に直接結びつくものではないのではないかと考えております。
そのような中、保護者や地域の方々の学校の小規模によるデメリットを心配する声、そしてより充実した教育環境を子供たちに残したいという思いに応え、現在統合に向けて具体的な準備を進めているところです。学校は地域住民にとって最も身近な公共施設でもありますので、統合後におきましては、魅力あるまちづくりという観点からも地域の方の声を十分に聞き、自治会や地域の健全育成会、子ども会育成団体連絡協議会などと連携を図りながら、地域の核となるような魅力ある学校づくりに努めていきたいというふうに考えております。
230 【7番(近藤好枝議員)】 近い将来の増加は見込まれない、これはまちづくりを真剣にやろうという角度からすると大変問題であるというふうに私は思います。そういう点でも急ぐべきではないと改めて申し上げておきたいと思います。統廃合先にありき、こういう進め方や教育委員会の教育的効果としても小規模校デメリットを描いて統廃合を推進する
教育委員会の統廃合方針は問題です。
教育委員会としては、平成20年に方針として出された中川小学校を今後どのように考えているんでしょうか。現在朝倉小学校と天神小学校で適正規模地区委員会が行われていますが、この学校についてはどのように捉えているのでしょうか。さらに、若宮、敷島、城東小学校や、元総社、元総社南、元総社北小学校については今後どのように考えているかお伺いします。
さらに、統廃合方針が出されて7年が経過いたしますが、
教育委員会の方針によって対象校となった保護者や地域では既定の方針として受けとめ、統廃合になるから仕方がないと諦めの声が広がっています。または、新たな学校が建てかえられるのではないか、こういう期待も一方であり、さまざまな意見が混在しています。否定的な意見は問題視されるなど、親も子供たちも翻弄されているのが現実ではないでしょうか。そもそも前橋市内にある小学校49校、中学校21校を一くくりにして適正規模と適正でない規模と選別する方針自体が余りにも乱暴な計画であり、方針であり、最もよい教育環境を整えるためという考えに立つならば、統廃合計画は直ちに撤回すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
231 【
指導担当次長(塩崎政江)】 まず、中川小学校につきましてですけれども、桃井小学校と中央小学校とあわせて適正規模化の対象となっておりましたが、中学校区が別であること、校区内で区画整理が進んでいることなどから今回の統合とは切り離して考え、しばらく地域で様子を見ていくこととなっています。また、朝倉小学校と天神小学校につきましては、児童数の減少により教育活動やPTA活動に支障が生じてきているということで、保護者のほうから両校の統合に向けて協議の場を設けてほしいというふうな申し入れがあったため、改めてPTAや自治会に説明して地区委員会を正式に立ち上げていただきました。本年3月から統合に向けての協議が始まっております。そのほか、若宮小学校等いただいた学校につきましても平成20年度以降、基本方針にのっとって説明させていただいておりますが、児童生徒数や校区内の状況の変化、いろいろな状況を判断して、それぞれの地区で検討されています。教育委員会としましては、先ほどもありましたが、デメリットだけではなく、メリット、デメリットの両方から検討し、今後も前橋市立小中学校の適正規模・適正配置基本方針の考え方を基本といたしますが、先ほど7年というお話がありましたけれども、策定時から現在までの間に児童生徒数や地域の様子等が変化している学校もあるため、当該地区の状況を改めて把握する必要があるというふうに考えております。その上で保護者や地域の方々の声を十分にお聞きし、対応の必要な学校につきましてはさまざまな課題を解決しながら丁寧に協議を進めていかなければならない問題であると認識しております。
232 【7番(近藤好枝議員)】 メリット、デメリットといいますが、小規模校というのは本当に世界的にも非常に教育的評価の高い、評価がしっかりしているものなんです。そういうところをメリット、デメリットなんていう形でそもそも教育委員会が述べること自体私は問題だというふうに思っておりますけれども、教育長にお聞きしますが、るるずっと答弁していただきましたけれども、統廃合計画というのは文科省がこの1月に変えたということですけど、先ほどバス1時間圏内に前橋市全部がすっぽり入るなんていう話まで出て、非常に私は乱暴な議論が進められているんではないかなというふうに思いますので、教育長の見解をお伺いしたいと思います。
233 【教育長(佐藤博之)】 お話のように、実は山間部ではとにかく小さい学校がふえて、やはり教育環境としては非常に望ましくない、例えば吾妻のほうは幾つかの中学校が一緒になりました。それは、あくまでも子供たちの教育環境を最適なものにしつらえていくのが本来の我々
教育委員会あるいは行政の基本的な役割だというふうに前にも申し上げました。文科省がどういうふうに言っているか、いろんな話がありましたけれども、多少地域の人に無理を言いながらであっても子供たちの教育環境と健全な育ちを守っていくのは私たち
教育委員会の一番基本的な業務であるというふうに思っています。昭和58年に最後の学校が誕生して、その学校は人数が非常に減ってきました。ふえたときは学校をふやす、それは子供たちの教育環境のために必要なことです。減ったときに、じゃそれをほっておいていいのか。それは決してそんなことはない。少人数と、それからたくさん人数がいるメリットは両方あります。しかしながら、前々からお話をしているように、私たちは中庸というふうに言いながら、片方で少人数のメリットを追い、もう一つのメリットの社会性を子供たちに保障していくための人数の多さを求めていく、そういうところで地域の人たちと協働し、一緒に考えながら最適解を求めていくのが今回の統合の話だというふうに考えています。ですから、行きに1時間とかいろんな話がありますけども、私たちはそれぞれの地域の学校の実態に応じて最適解を求めていく、これが私たちのやり方だというふうに思っております。
234 【7番(近藤好枝議員)】 教育長に答弁していただきましたが、いろいろおっしゃったんですけれども、基本的に統廃合方針はさまざまな観点で今見直す必要はあるけれども、基本的な考え方は変わらないというお話のようですので、私は統廃合方針の最大の効果は財政の縮減であり、これが
教育委員会の最大の目的だと思います。平成23年度の包括外部監査では、小学校の行政コストについて計算し、財政の削減という観点のみで統廃合計画推進を求めています。文科省も統廃合の最大の成果は経費削減、こういうふうにはっきり述べている報告書があります。およそ教育とは相入れないと思います。将来の前橋市を担う子供たちの教育をコストではかり、統廃合することは断じて私は認められないと思います。最良の教育環境を整えるため、こういうふうに言うのであれば、30人以下学級こそまず最も最優先にすべきだと思います。市内の小規模校に勤めている先生からお話をお伺いいたしましたが、人間形成の上でも学力面でも何ら問題はないし、高校に進学しても勉強でも部活でもむしろリーダー的存在の子供が育っている、全然問題ない、むしろ小規模校のよさを小規模校はすばらしい、こういうふうに強調していました。したがって、今議案の中央小学校と桃井小学校の統廃合、さらには市教委の統廃合方針は白紙撤回すべきだと考えますので、ぜひよろしくお願いいたします。
235 【教育長(佐藤博之)】 確認をしておきますが、私たちはこの統廃合の学校の適正規模の話で提案をした当初から一度も予算については話はしたことはありません。子供たちの教育環境を整備するに当たり、中学校はおおよそ1年間で3,000万円、小学校で言えば1年間でおおよそ2,000万円です。確かに規模が小さくなれば予算の削減はできると、減れば予算削減ができるというふうに言いますが、前橋市は幸いなことに財政も行政も含めて、ぜひ学校を統合することで予算を削減してくださいというふうに言われた覚えは一回もありません。私も一言も言ったことはありません。ですから、予算の議論については、前橋市は行財政改革のために子供たちの
教育問題、この点に関して言ったことは一回もありません。これからもそういう方針でいきたいというふうに私は思っていますし、財政の皆さんにもそういうふうにお願いをしてきました。それで了解をもらっているというふうに思っています。これは、議会の皆さんにもそういうふうにお話をして、お話をいただいているというふうに思っています。
236 【7番(近藤好枝議員)】 教育長さんは今そうおっしゃいましたけれども、文科省はその効果について報告されているということ、これはご存じだと思います。それで、確かに前橋市の平成23年度の包括外部監査、教育長さんはつまり包括外部監査の指摘は当たらないと、そういうふうにおっしゃっている、今後ともその今の答弁はしっかりと私たちも認識したいと思いますけれども、しかし各小中学校の行政コストの比較で、これは前橋市が市の行政コストの比較をしているんです。国、県の教員の人件費というのはこの中に入っていないんです。そして、統廃合するとどうなるかというと、いろいろなケースあると思いますけれども、教員が減るんです。削減されるわけです。つまり国、県にとってみると教育費の人件費の削減が行われる効果がある、こういうふうに客観的には示されている。この現実についてはぜひ認識していただきたいというふうに思います。そして、子供の最良の教育というのは統廃合というのではなく、改めて申し上げますけれども、30人以下学級を最優先すべきだと私は思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
次に、合併町村のまちづくり、中山間地の農業振興についてお伺いいたします。中山間地は、市内南部と比較して効率のよい農業をするには立地条件が悪く、耕作放棄地がふえ、鳥獣被害にも苦しんでいます。一部の地域では限界集落になり、地域が消滅するのではないかと危惧しています。養蚕業が衰退して新たな農業経営に転換したのが畜産業で、養豚や酪農、肥育が盛んに行われるようになりました。しかし、ここ数年は家畜飼料の高騰や乳価の低迷、肉価格の低迷が続き、高齢化とも相まって廃業する農家がふえています。また、ビニールハウス栽培でキュウリやイチゴなども盛んですが、他の産地との競合で安定して生産できる期間が短いことが大きな負担となっています。行政はこうした問題を正面から打開すべきと考えます。例えば高崎市では合併町村の農業振興策を具体化し、市民の食料自給率を御飯茶わん1杯のカロリー計算まで行って、市民1人当たり年間どのぐらいの農畜産物を消費してもらうか地産地消の観点から計算して、自給率向上目標を立てています。この基本方針に基づいて合併町村の特性を生かした農業振興のあり方を分析し、方針化しています。本市でもこれらの中山間地域の抱えている地域の実態、農家の声を踏まえて、こうした地域の特性を生かした農業振興策を方針化すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
237 【農政部長(金井知之)】 中山間地の農業振興計画についてでございますが、本市では地域農業の効率的かつ安定的な農業経営を目指し、前橋農業振興地域整備計画書において各地域の特性に合った農業経営の目標を定め、各種事業を展開しているところでございます。合併地域につきましては、米麦に施設野菜、露地野菜及び畜産を組み合わせた土地利用型複合経営の育成に取り組むとともに、養豚、酪農、肉牛等を主体とした大規模畜産経営が多いことから、地域農業の中で良質な堆肥の生産を行う耕畜連携や資源循環型農業も推進しております。また、新たな農業振興計画の策定というお話でございますが、現在本市では既存の前橋農業振興地域整備計画書の改定作業を行っておりますので、その中で各地域に即した効率的かつ安定的な農業経営の方向性を示してまいりたいというふうに考えております。
238 【7番(近藤好枝議員)】 ぜひ今後正面から検討し、取り組んでいただきたいと思います。
第6次産業やグリーンツーリズムの問題については、他の議員からも質問がありましたので、(2)番、定住促進策を質問させていただきます。内閣府の農山漁村に関する世論調査では、都市住民の3割が農山漁村への定住願望があり、そのうち20代の男性の47.3%が定住願望があると答えています。こうした動向も踏まえて、中山間地の自然を守り、農業振興を行い、地域を活性化するためにも定住促進に向けた施策展開が求められています。宮城地区でも古民家を改修したり、あるいは若い方たちが開発した住宅団地に引っ越してきたりと、多くの定住者を迎えていますが、そこで今議会の空き家対策補助金の具体的な活用を行い、中山間地は自然の魅力をアピールして、既に定住した方々の思いも参考にして定住促進施策の重点地域と位置づけて施策展開をすべきと考えます。また、定住促進に向けて短期あるいは長期に滞在できる居住施設の確保策も検討すべきだと考えますが、それぞれお伺いいたします。
239 【政策部長(藤井由行)】 本市の中山間地域における定住促進策についてでございます。ただいま議員さんのほうからいろいろとご提案がございました。本市の中山間地域でございます赤城南麓では豊かな自然環境が保全されております。また、農産物にも恵まれるなど、大きな魅力を有しております。移住、定住促進に向けまして極めて高いポテンシャルを持っていると認識しているところでございます。その魅力を改めて把握するために、既に本市に移住された方の感想や今後移住を希望されている方へのニーズ調査などを通しまして、本市の魅力をしっかりと捉え、積極的にPRするとともに、そのニーズや地域特性を踏まえて特色ある移住定住促進策を検討してまいりたいと、このように考えております。
240 【7番(近藤好枝議員)】 今後取り組む上で定住化に向けた子育て支援や、退職後に定住する方々には買い物や病院に行くためのドア・ツー・ドアのデマンドバスの拡充など、日常生活支援もしっかりと整備すべきだと考えますので、ぜひよろしくお願いいたします。
以上で終わります。
(2番 新井美咲子議員 登壇)
241 【2番(新井美咲子議員)】 順次質問いたします。
地域コミュニティーの充実について伺います。地域とのつながりは、昔はどこにどのような人が住んでいるのか顔が見える近所づき合いがありました。今は、人々のライフスタイルや価値観の多様化に伴い、住民相互のつながりの希薄化とともに孤立化、孤独化する人々が増加するなど、地域コミュニティーの機能は残念ながら低下しています。人口減少、少子高齢化社会の中で地域力を増進していく取り組みは、自治体にとっても必須事業です。
前橋市は、各地域を24地区に分けて、我が地域を住みやすいまちづくり、活力あるまちづくり等に積極的に市民力を生かしていこうと、多世代の地域交流など、さまざまな企画事業を行っております。その中心拠点が公民館であり、平成23年4月に市民サービスセンターを開設。時同じくその現場に地域担当専門員という人材が各地域に配置されました。地域担当専門員は、地域の主体的な活動を支援する役割と地域と行政のパイプ役を果たす目的を達成するため配置されましたが、現在の活動状況をどう認識されているのか、ご見解を伺います。以下質問席にて伺います。
242 【市民部長(永田敦)】 地域担当専門員の具体的な活動状況でございますが、
自治会連合会や各自治会長との連絡調整、そして地域づくり協議会の事務の後方支援といった役割を担っております。今年度16人の地域担当専門員を配置しておりますが、配置した地区においてはおおむねよい評価をいただいており、地域と行政のパイプ役としてその役割を果たしているものと考えております。
243 【2番(新井美咲子議員)】
自治会連合会や各自治会役員との連携、地域づくり協議会の事務については役割を果たされていることは認識しますが、市民とのパイプ役とする相談窓口体制としては効果が薄いようです。地域担当専門員は、現役時代は課長級同等以上を務めていた長年の経験と知識のある人材が再任用、非常勤職員で配置されています。住民の困り事があれば丁寧に的確に対応ができると考えます。より多くの住民にその存在を知ってもらい、気軽に相談ができる地元に開かれた行政の窓口としてなり得ます。自治会役員は承知でも、その地域に在住する市民の多くは知らない方が多いようです。気軽に相談できる窓口として地域担当専門員の存在や役割などを市民に周知して、地域の核となるようにすべきと考えますが、ご見解を伺います。
244 【市民部長(永田敦)】 地域担当専門員制度の周知についてでございます。議員さんご指摘のとおり、より多くの市民の皆さんに地域担当専門員の存在や役割などを知っていただく必要があると認識しております。地域の課題はさまざまでございます。そんな地域の課題を吸い上げ、行政で対応できることに関しては適切な部署につなぐということも地域担当専門員の役割の一つでありますので、例えば公民館報や地域づくり協議会の広報紙などに改めて掲載するなど、機会を捉えてその周知に努めてまいりたいと考えております。
245 【2番(新井美咲子議員)】 平成18年から行われている地域づくり協議会は、本年で10年になろうとしております。改めて地域づくり協議会の目的ですが、地域主体による課題解決力の向上と地域における支え合いの強化を掲げております。この取り組みは先進的で、順次市内24地区中22地区で地域づくり協議会が設置されました。本年度、23地区目、中川地区が設立される予定と聞いておりますが、それぞれの各地区の特徴や歴史、地域課題に応じて活動を行っています。しかし、それぞれの活動内容に地域差があり、必ずしも地域の直接的な課題解決に至っていないこと、担い手不足が課題であり、地域づくり活動が硬直化しているのではないかと危惧しております。そこで、地域づくり協議会の現状と課題、あわせてどのような対策を講じているのか伺います。
246 【市民部長(永田敦)】 地域づくりを取り巻く課題でございますが、事業の現場や会議等で各地区の役員さんとお話をいたしますと、役員をやってくれる人がいない、若い人が事業に参加しない、事業がマンネリ化しているといった声をお聞きすることがございます。全ての地区に調査をかけてはおりませんが、各地区が同じような課題を抱え、今申し上げた問題があらわれ始めていると認識しております。こうした課題の解決策として、昨年1月に前橋の地域若者会議を立ち上げ、将来の地域づくりの担い手の育成を図るとともに、今年度新たに社会実験として地域活動ポイント制度をスタートさせましたので、こうした取り組みを契機として地域づくりに対するモチベーションの向上や担い手の発掘等が図れればというふうに考えております。
247 【2番(新井美咲子議員)】 市内の地域づくり協議会の活動状況を共有して、地域のよさを市民にPRする地域づくり交流フェスタが年1回開催されております。地域での課題になっているのは、若者の地域参加、高齢者の見守り、移動困難者の移動手段等ではないかと痛感しております。当局として課題を認識し、新たな取り組みにも着手していますが、そこで今後より暮らしやすい地域にするためにも、地域づくり協議会などを中心に各種団体組織と連携するなど、ネットワーク構築によりさまざまな課題に取り組む機能の強化が必要と考えますが、ご見解を伺います。
248 【市民部長(永田敦)】 地域づくり協議会の今後の展開についてでございます。地域づくり協議会は、主体的な地域づくり活動のベースとなる地域団体の一つであり、その機能強化については自主的な取り組みを支援していくという観点が必要でございます。これまでも地域づくり協議会の体制につきましては、子ども育成会や体育協会、生涯学習奨励員等の地域の各種団体が力を寄せ合ってさまざまな課題に対応できる形に整えることを支援してまいりました。こうした連携体制の構築により、おのずと地域づくり協議会の機能が強化され、地域の中心的な活動主体になっていくものと考えております。今後も地域づくり協議会の組織の特性を生かしながら、地域づくりの目的である地域における支え合いの強化と地域主体による課題解決力の向上が実現できるように助言や支援を行ってまいりたいと考えております。
249 【2番(新井美咲子議員)】 地域担当専門員の活躍と10年に及ぶ地域づくり協議会の経験を生かし、地域の課題は地域で解決し、たくさんの住民が地域づくりに参加できるようによろしくお願いいたします。
次に、感染症予防対策について伺います。感染症の歴史は、有史以前から近代まで人の疾患の大きな部分を占めてきました。また、医学の歴史は感染症の歴史から始まったと言っても過言ではありません。予防接種は、狂犬病、天然痘、ポリオに有効なワクチンが開発されて、後にそれぞれを根絶もしくはほぼ制圧するための一歩を踏み出しました。抗生物質の普及や予防接種の義務化、公衆衛生の改善などによって感染症を過去の脅威とみなす風潮も見られましたが、耐性菌の拡大や経済のグローバル化による新興感染症の出現など、一時の楽観を覆す新たな状況が生じております。
国においては、1948年、感染症患者や死者が多数発生し、感染症の流行がもたらす社会的損失防止が急務であり、社会防衛の強力な推進が必要となり、予防接種制度が整備されました。ここ数年のたび重なる予防接種の改正により、平成25年11月から小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチン、平成26年10月から水痘と高齢者用肺炎球菌ワクチンがそれぞれ定期化となり、予防医療の充実が図られています。
そこで、子供の予防接種で近年定期化されたヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの予防接種状況と、現代社会で予防接種事業の感染症予防に対する必要性を当局はどのように認識されているのか伺います。
250 【健康部長(塚越弥生)】 まず、予防接種の接種状況でございますが、平成25年度に定期化をいたしましたヒブワクチンにつきましては、平成26年度延べ1万463件、小児用肺炎球菌ワクチンは延べ1万442件であり、接種全額助成を行っておりました平成23、24年度と比較して大きく変わるものではございませんでした。
次に、予防接種の必要性についてでございますが、予防接種はこれまで痘瘡の根絶を初め、かつて流行していたポリオも日本では昭和55年以降は野生株による感染の報告はなく、多くの感染症の流行の予防に大きな成果を上げてまいりました。平成17年、18年、19年に流行した麻疹につきましても、予防接種を2回接種としたことで3年間日本固有の土着株の感染が確認されなかったことなどから、世界保健機構から排除状態にあると認定を受けたところでございます。このようなことから、予防接種によって免疫を獲得することで感染症の流行を抑制し、感染予防、重症化予防が期待できますことから、予防接種は市民の健康を守るために必要なものであると考えております。
251 【2番(新井美咲子議員)】 予防接種事業の効果は感染症の流行抑制、感染予防、重症化予防とのことですが、感染力が強く、重い健康被害のある感染症でワクチン接種が十分に行われていない現状があります。さらに、予防医療の観点からワクチン予防接種の充実が必要と考えます。
そこで、感染性胃腸炎について伺います。乳幼児の多くが発症すると言われている特に下痢、嘔吐による脱水で重症化となるロタウイルス胃腸炎は、近年その疾患、発症予防になる副反応が少ないワクチンが製造され、先進自治体ではワクチン接種に取り組む事例も増しております。当局のロタウイルスワクチン接種についての認識を伺います。
252 【健康部長(塚越弥生)】 日本でのロタウイルスによる胃腸炎の発症は冬から春に多く見られ、ゼロ歳から2歳の乳幼児が発症者の4分の3を占めており、生後3カ月から23カ月の乳幼児は重症化しやすいと言われております。ワクチン接種により重症化の予防が図れ、それに伴う保護者の負担軽減も期待されることから、現在国において定期接種化に向けての検討が進められております。本市といたしましても、国の動向を注視しながら検討結果を待っている状況にございます。
253 【2番(新井美咲子議員)】 国の動向を注視するとのことですが、ロタウイルス胃腸炎は重症化になり入院する乳幼児が多く、予後が悪く急性脳炎や脳症になるお子さんもます。また、感染力が非常に強く、ウイルス10個でも感染してしまいますので、保育所などに通園している環境では感染拡大のリスクが非常に高いです。お子さんが病気になれば保護者は仕事を休んでの社会的な労働損失も大きいものがあります。県の衛生環境研究所から発信している群馬県内の感染症情報からも平成25年10月から基幹定点把握疾患としてロタウイルス胃腸炎が報告されています。平成26年、27年において3月から5月に患者数がふえ、年齢別ではゼロ歳から4歳など乳幼児を中心に報告されています。市民からも直接高額なロタウイルスワクチン予防接種費用助成の要望もいただいております。さらに、前橋市医師会からも昨年要望が提出されたと伺いました。ロタウイルスワクチン予防接種のリスクである副反応とベネフィットである労働損失防止と医療費抑制を比べて、ベネフィットが上回ると聞いております。多くの前橋市民のニーズに応えてロタウイルスワクチンの予防接種費用の一部助成に取り組むべきと考えますが、ご見解を伺います。
254 【健康部長(塚越弥生)】 ロタウイルスワクチンの予防接種の助成についてでございますが、現在国において定期接種化に向けて検討が行われております。しかし、定期接種を導入している諸外国では、ロタウイルスワクチンの接種直後に腸重積症のリスクが上昇するとの報告もあり、定期接種化に当たってはロタウイルスワクチンの副反応発生状況の分析や評価、医療、経済学的な評価についてまだ課題があると聞いております。ロタウイルスワクチンは2万円から3万円程度の接種費用がかかり、市民の方が接種しやすくするためには相当の助成費用を要するものと認識しております。今後も国の動向を注視し、国の定期化に合わせて円滑な導入を行いたいと考えております。
255 【2番(新井美咲子議員)】 副反応については、海外の報告で任意接種で現行使用しているロタウイルスワクチン2ワクチンについては副反応の発生率は小さく、感染拡大防止、小児科医の医療現場における負担軽減、そして何よりお子さんの感染による苦しみ、家族の負担を軽減できます。このワクチンによって重症例を90%減らすことができます。子供を育てるなら前橋のためにも、国の定期化を待たず独自のロタウイルスの予防接種費用一部助成を要望いたします。
次に、B型肝炎予防接種施策の動向について伺います。現在、日本においてB型肝炎ウイルスの感染者は最大140万人と推察されています。そのうち若者成人を中心に6,000人以上の新規感染者がいると推計されています。一般的にB型肝炎ウイルスは母子感染や性感染でうつることは知られていました。これらの現状から、父子感染や兄弟感染、集団で生活する保育園における水平感染のリスクがあり、乳幼児が感染する例がふえています。国において小児のB型肝炎予防接種が近々定期化されることになった背景について伺います。
256 【健康部長(塚越弥生)】 B型肝炎ワクチンは、世界の多くの国で定期接種となっております。世界保健機関は、1992年、B型肝炎の感染源の撲滅と肝硬変や肝臓がんなどによる死亡をなくすために、生まれたらすぐにB型肝炎ワクチンを国の定期接種として接種するよう指示しております。定期接種になっている諸外国が多い中、日本ではB型肝炎の母親から生まれた児のみを接種対象にしてまいりましたが、B型肝炎を持っている日本人は多く存在すると推定されますことから、現在国において定期接種化に向けて検討が進められております。本市としても国の導入計画に合わせ準備を行ってまいりたいと考えております。
257 【2番(新井美咲子議員)】 肝硬変や肝がんなどになる可能性のあるB型肝炎ウイルスワクチンの定期化は来年度からとも聞いております。子供に実施する予防接種の数が近年ふえておりますが、薬と同じく予防接種についてリスクはあります。予防接種事業は市民の健康を守るため必要なことで、広く市民一人一人に予防接種のリスクとベネフィットの理解と周知はこれからも重要になっていくと考えますので、情報を丁寧にお伝えできるようにお願いいたします。
次の感染症予防対策の取り組みについては、時間の関係で割愛させていただきます。
次に、ひきこもり施策について伺います。全国において、ひきこもり状態にある若者は70万人と推計されています。前橋市におけるひきこもりの実態と相談件数の推移について伺います。
258 【健康部長(塚越弥生)】 ひきこもりの現況についてでございますが、内閣府の調査によるひきこもりの出現率から推計いたしますと、本市の15歳から39歳までのひきこもりの人は約1,600人となっております。平成26年度の来所、電話あるいは家庭訪問などを合わせた相談件数は約4,800件で、そのうちひきこもりに関しての相談は約350件でございました。ひきこもりに関する相談件数の推移は、平成24年度が約130件、平成25年度が約400件と年々増加する傾向にあります。主な相談の内容は、仕事をしてほしいが、どうしたらよいのかとか、受診をさせたほうがよいのかなどでございます。